NECが、米ナスダック店頭市場に上場している同社の米国預託証券(ADR)が上場廃止になる見通しだと発表したという記事。2006年3月期連結決算の年次報告書が期限に間に合わず、提出を断念したためです。
「問題となっていたのは、コンピューター機器やソフトウエア、保守などが一体となった契約の会計処理だ。監査の厳格化を受け、NECの契約価格の妥当性を示す証拠などの提出を米監査法人が06年8月に求めた。しかし、対象となる契約が10万件を超えたうえに、立証に必要な資料も保管期限を越えていたため収集できず、作業を打ち切った。」
複合取引を、販売時の収益となるもの(機器の売上)と使用期間にわたって徐々に収益となるもの(保守料など)に厳格に分けるように求められたのだと思いますが、もともとの契約自体がきちんと区分されていなければ、あとから区分しようとするのは困難だということは想像がつきます。記事でいっている「日本企業の会計処理への信頼性が損なわれる懸念」だけでなく、取引自体にあいまいな部分があるのかもしれません。
また、海外の会計基準・監査基準を使うことのリスクも感じます。米国でも収益認識を特にうるさくいうようになったのは、たぶんここ4,5年ではないかと思います。そうした情報は日本にも入っていたはずですが、会社は対岸の火事とみていたのでしょうか。あるいは、多額のコストをかけてまで是正する必要はないと判断したのでしょうか。
米国会計基準による過年度財務諸表およびADRのNASDAQ取引について
当サイトの関連記事
最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事