国際課税ルールの歴史的改正が危うくなっているという記事。
「実現すれば1世紀ぶりとなる国際課税ルールの制度改正に黄色信号がともっている。巨大グローバル企業に適切に課税するため、各国で10年以上議論し、およそ140の国と地域で大枠合意までこぎ着けたが、アメリカのトランプ大統領が離脱を示唆したのだ。」
財務省幹部のコメントなど。
「アメリカが国際課税の枠組みから離脱した場合、どういう展開が考えられるのか。
財務省のある幹部
「2つ目の柱である最低税率については、定めたルールに沿って各国が国内法を整備するだけなので、全体に与える影響はそこまで大きくない」
「1つ目の柱である巨大グローバル企業への適切な課税については、多国間条約であり、アメリカの参加が必要になるため、発効の見通しが立たなくなる。GAFAなどの巨大IT企業を抱えるアメリカはただでさえ、実効性のカギを握る国。国際社会としては、アメリカに対して参加への理解を求めるなどの対応が必要になるのではないか」」
すでに課税合戦になりつつあるようです。
「すでにフランスやイギリスなど一部の国では国内でデジタルサービスを展開するアメリカ企業に対して、独自の課税を行っている。
トランプ大統領はこの課税について、2月に公表した覚書の中で「アメリカの主権と雇用を奪い、アメリカ企業の国際競争力を制限している」と批判した上で「外国政府がアメリカ企業から多大な資金や知的財産の移転を意図した税を課す場合、関税などの措置を講じる」とけん制した。
国際課税の新たなルールが発効せず、各国が独自の課税を継続したり、新たに独自の課税を行う国が出てきたりした場合、アメリカが報復的な課税措置を取り、各国の間で「課税合戦」に発展する可能性が指摘されている。」
専門家の解説。
トランプ大統領就任によって引き起こされる混乱…「国際税務の最前線」で今、何が起こっているのか、国際的ルール破壊後の想定される「最悪のシナリオ」とは【国際税務の専門家が解説】(Yahoo)
トランプと税金ということでは、アメリカでは、確定申告シーズンなのに多くのIRS(アメリカ合衆国内国歳入庁)職員がクビになっているそうです。
Thousands of workers in IRS small business division to lose jobs(JofA)(←米国公認会計士協会機関誌の記事)
More than 3,500 employees in the Small Business/Self-Employed (SB/SE) division of the IRS will lose their jobs this week, according to an email sent to IRS managers on Wednesday. The affected employees are expected to be notified Thursday, according to the email signed by Lia Colbert, SB/SE commissioner, and four other SB/SE managers.
The Associated Press, The New York Times, and other outlets, citing anonymous sources, reported higher totals of IRS employee terminations.
AICPAの会長が、納税者のことも考えてくれというような趣旨の声明文を出したりしているようです。