会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

東芝、土壇場で混乱増幅 内部通報が相次ぐ(日経より)

東芝、土壇場で混乱増幅 内部通報が相次ぐ

東芝の2度目の決算発表延期についての記事。東芝では内部通報が増えているそうです。

「調査が必要な約10件の中には、内部通報で発覚したものもある。第三者委員会の調査が始まった5月以降、東芝では内部通報が増えたという。

室町正志社長は「内部通報が企業風土の改善につながるという意識が社員に出てきた。これに向き合うことが株主の信頼を取り戻すために大切だと思っている」と話した。前向きな話に聞こえるが、それほど不適切会計が社内にまん延していたことの表れといえる。

東芝は4月に社内の特別調査委員会を立ち上げ、5月からは弁護士と会計士でつくる第三者委が調査に乗りだした。並行して子会社584社を含む自主チェックも実施しており、「三重の調査」でもウミを出し切れなかったことになる。室町社長は「調査に漏れがあったことについては謝罪したい」とも述べた。専門家らによる調査の信頼性を問う声も出そうだ。」

東芝の場合、ある特定の取引について、不正な会計処理が行われたというより、多くの部門で、さまざまな手口を使った粉飾が行われているので、不正をすべて拾い上げるだけでも大変な作業です。時間がかかるのはしかたがないといえます。

「2011年の粉飾決算で当時の経営者が逮捕されたオリンパスでも決算発表の遅れは約1カ月だった。当初予定から4カ月遅れとなる東芝の異例ぶりが際立つ。

 現在、新日本監査法人や外部のコンサルタント会社などもあわせて250人体制で決算作業に当たっている。延長が認められた期限は1週間。混乱の収束に手間取り、作業がさらに遅れれば株式市場の不信は深まる。」

オリンパスの場合は、不正に関与した経営者が、不正の全体像を把握しており、決算訂正もそれに焦点を当てればよかったのに対し(不正関与者の自白やその作成資料をどこまで信用できるのかという問題はありますが)、東芝の場合は、経営者が「チャレンジ」「工夫しろ」と指示しただけで、具体的に、部下たちがどのような取引についてどのような操作を行ったかまでは、おそらく知らないのでしょう。そうだとすると、だれも粉飾の全体像は正確に把握していないわけで、オリンパスより時間がかかるのは当然といえます。

日経は「作業がさらに遅れれば株式市場の不信は深まる」といっていますが、監査人が十分な証拠が得られる前に監査報告書を発行したら、それこそ監査の信頼性が失われ、市場の不信は深まることでしょう。たとえば、大きな修正に結びつく可能性のある内部通報を、きちんとフォローした後でなければ、監査報告書は出せないはずです。

東芝またも決算延期、米国で監査法人が「待った」(日経ビジネス)

「米国子会社が手掛けた工事進行基準案件で引当金を適切に計上していなかったことが発覚したほか、国内の子会社などで「経営監査部による特別監査の実施が必要」(東芝)な事象が判明した。固定資産の減損費用などで再計算が求められる事態にもなった。そして、米国子会社に対する会計監査人の監査が長期化した結果、連結税引き前損益の再計算が必要になったという。これが、東芝が8月31日に示した延期の主な理由である。」

アングル:上場維持へ正念場の東芝、17日が有価証券報告書提出の最終期限(ロイター)

「ただ、9月7日以前の段階で東芝が7日までの提出が難しいと判断した場合、提出期限を3度延長することは制度上は可能。」
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