東京商工リサーチが実施したインターネットによるアンケートで、自社の債務に「過剰感がある」と回答した中小企業が35.0%に上ったという記事。4月1日~12日にかけて実施したものです。
「回答の選択肢は、「コロナ前から過剰感がある」「コロナ後に過剰となった」「コロナ前は過剰感があったがコロナ後に解消した」「コロナ前もコロナ後も過剰感はない」の4択に設定した。
8473社を調査した結果、「コロナ前から過剰感がある」が12.5%、「コロナ後に過剰となった」が20.0%で、合計32.5%が「過剰債務」と回答した。
また、業種別では、飲食店の79.4%、飲食料品小売業の78.5%、洗濯・理容・美容・浴場業の78.5%が「過剰債務」と回答した。いずれも個人消費者を対象としており、外出自粛の影響を色濃く受けた業種で、資金繰り支援の利用率も高い。
回答結果を中小企業である7327社に絞ると、「コロナ前から過剰感がある」は13.2%、「コロナ後に過剰となった」は21.8%で、合計35.0%に達する。冒頭で記した通り、3社に1社が「過剰債務」という実態が浮き彫りになった。」
現在行われている支援策については...
「現時点での支援は、「リスケ継続」「資本性ローン」「事業再構築支援」「伴走型支援」が柱になる。前者2つは金融円滑化法の二の舞いに陥る恐れがある。残る2つは、多くの企業が過剰債務を抱えている中での実効性は未知数だ。
事業再構築に向けた投資は、補助金を活用しても自己負担が発生し、過剰債務は投資意欲を減退させる。また、単一事業を展開する中小企業の場合、不採算事業を切り離す外科的療法がしにくい。事業の選択と集中は難しく、大胆な転業・業態転換はかえってリスクを高める可能性もある。
伴走型支援は、「事業性評価」に基づく融資と本業支援が重要だが、実務家からは「金融機関の中には事業性評価の理解が進んでいないところもある」、「そもそも事業再生の人材は質・量ともに不足している」との声も聞こえてくる。
また、金融債務のリスケを継続できても、社会保険料や納税の猶予を繰り返すことは難しい。再生支援の現場では、債務を加味した資金繰り表の作成・活用が進むが、逃げることのできない債務がこれ以上膨らむと「心が折れる」経営者も出てくる恐れがある。」
金融庁などは、金融機関に対して、企業の資金繰りを支援せよと号令をかける以外に、これといった策はないようです。(今回は悲観的な見積もりをするなということは書いていません。)
↓
緊急事態宣言の延長等を踏まえた資金繰り支援等について(5月12日)(金融庁ほか)
最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事