急速に進んだ円高により、為替のデリバティブ損失が引き金となって中堅・中小企業が倒産するケースが急増しているという記事。帝国データバンクの調査を取り上げています。
「2003年から07年までの5年間でデリバティブ損失による倒産件数は4件で、いずれも資産運用的なデリバティブ取引が原因であった。これに対して08年以降はデリバティブ関連倒産が20件と急増しており、うち15件が為替デリバティブが契機となっている。」
このほかに倒産に至らなくても多額の損失が発生した企業は多いのかもしれません。
↓こちらの報告書です。
特別企画 : デリバティブ損失関連の倒産動向調査
2008年以降で20件発生、2009年以降に増加
~急激な円高で為替のデリバティブ損失が膨らむ~
「2007年までは資産運用的なデリバティブ取引から損失を計上するパターンだったが、2008年後半からの急激な円高により、輸入業者などで為替取引に伴う通貨オプションのデリバティブ取引で損失計上するケースが発生するようになった。」
どういうデリバティブ取引だったのかはよくわかりませんが、たぶん外貨建ての輸入代金をヘッジする目的でやっていたのでしょう。円安傾向であれば有利(安く外貨を買える)かもしれませんが、これだけ円高になると、デリバティブをやっていない競合企業がカレントレートで安く外貨を買えるのに、自社は割高なレートになるおそれがあります。さらには、この不景気でヘッジ対象の輸入取引自体がなくなってしまうと、デリバティブの損失だけもろにかぶることになります。
会社のおかれた状況によっては、何もヘッジしないというのもひとつの方法かもしれません。
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