会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

ほぼ無名のグループ企業が標的-アリババに対する米SEC調査(ブルームバーグより)

ほぼ無名のグループ企業が標的-アリババに対する米SEC調査

中国のアリババ・グループ・ホールディングに対する米SECの調査には、連結範囲の問題が含まれているようです。

「アリババはこの企業、菜鳥網絡科技に47%出資しているが連結対象にしておらず、SECがその理由を調べている。菜鳥はアリババが農村部や海外に事業を拡大する上で中心的な役割を担っている。中国の大都市近郊に大規模な物流拠点を設けており、例えば北京近くの拠点はサッカー場37個分の広さがある。

アリババは菜鳥に持ち分法を適用しており、菜鳥の損益を自社への帰属分のみ反映。傘下で娯楽事業を手掛けるアリババ・ピクチャーズ・グループなどにも同じ会計処理をしている。」

日本でも以前(2000年頃)、準大手ゼネコンや百貨店の会社の連結はずしが問題となりました。アリババのケースは、日本の連結外しの例と違って、持分法を適用しているそうなので、当然監査対象にもなっており、そんなに悪質な感じはしませんが、持分法ということは他に持分を半分超保有している株主がいるわけで、それがどういう株主なのか、アリババやその創業者との間で何かあやしい取引があるのではないか(関連当事者取引の問題)、なぜ子会社にせずに関連会社にとどめているのかなど、調査ポイントはいろいろありそうです(たぶんある程度は開示していると思いますが)。

(ちなみに、日本の連結外し問題については、当時の大蔵省は何の手も打ちませんでした。経済誌などでさんざん問題になったあとで、連結範囲に関する会計基準改正をやりましたが...)

アリババ株が急落、米SECが調査-会計慣行など文書提出を要請(ブルームバーグ)

「アリババは年次報告書で、SECに文書を提出し調査に協力していると表明。SECは連結会計の慣行と関連する当事者間の取引、11月の「光棍節」(独身者の日)に関するデータを調査しているという。光棍節はアリババが力を入れるセール日で、昨年は24時間で900億元(現行レートで約1兆5100億円)を超える売り上げを集めた。」

「モーニングスターのアナリスト、R・J・ホットビー氏は、アリババの「独特な」会計慣行は一部の投資家の間で長きにわたり懸念されてきたと指摘。同氏はその上で、アリババの会計監査は知名度の高い事務所が担当していると付け加えた。

記事原文。

Alibaba Facing SEC Investigation Over Accounting Practices(ブルームバーグ)(音声が出ます。)

アリババの年次報告書公表のプレスリリース。

Alibaba Group Announces Filing of Annual Report on Form 20-F for Fiscal Year 2016(Alibaba Group)

香港のPwCが監査しています。しかし、実質的には、中国本土の会計事務所(名目的には他の監査人)が主な作業をやっているのでしょう。

Alibaba Discloses U.S. Probe of Accounting(CFO)

In a recent report, analysts at Pacific Square Research said that at times Alibaba used its web of investments to control companies like Cainiao without taking their losses onto its balance sheet.

“We haven’t seen anything quite as difficult to untangle as this in our respective careers,” Herb Greenberg, a managing partner of Pacific Square, told the Times. “In our view, Alibaba is like a big ball of wet knotted yarn.”
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