セブン&アイ・ホールディングスのデジタルトランスフォーメーション(DX)プロジェクトにおいて、コンサル会社などからの出向者が、出向元に多額の発注をしていたという記事。週刊ダイヤモンドの特集の宣伝記事のようです。
「セブン&アイでは20年から米谷氏をトップとするDX部門が中心となってグループ横断でDX施策を展開してきた。大型プロジェクトも目白押しで、グループ全体のDXへの投資は総額で1200億円にも上った。これは流通企業の売り上げに対するIT投資の平均的な比率の2倍超にも及ぶ巨大な投資だった。」
「例えば、グループDX戦略本部には、PwCから出向してきた2人が所属。そのPwCに対して案件を発注し、5億7000万円を支払っている。
金額が大きいのが、IT統括部・GMSシステムという部門である。同部門はアクセンチュアから社員1人受け入れており、アクセンチュアに発注することで、60億1600万円も支払っていた。NTTデータから出向で1人を受け入れるITインフラ部という部署は、NTTデータに26億5700万円を支払っていた。
内部資料が示すのは、その驚くべき総額である。計10部門で31人を受け入れており、出向元への支払額を合計すると127億5000万円にも上るのだ。
同じペーパーには、直近の稟議の数と、ITベンダーに対するシステムの導入や業務委託を提案・依頼する際の提案依頼書(RFP)の実施状況が記されている。内部資料の作成時点では、RFPは任意で実施されていたとし、全体の稟議の610件のうちRFPが実施されたのはわずか18件程度としている。その実施率はわずか3%ほどだ。
意味するのは、セブン&アイに出向してきた社員が、出向元のベンダーにRFPのプロセスを経ずに案件を発注できてしまうということだ。内部資料は「コンプライアンス上のリスクが懸念される」と警鐘を鳴らしている。」
出向元に発注することが法律違反になるわけではなさそうですが、出向者以外によるチェックが不十分だと、支出に関する内部統制の不備になるのかもしれません。
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記事でいっているとおりの「DX敗戦」だとしたら、セブンの監査人は、減損をよく見ないといけないのでは。