ソフトバンクG孫社長、ファンド事業悪化で個人の評価損は6800億円超
(19日の日経朝刊でも大きく報じられていましたが)ソフトバンクグループの孫社長が出資するビジョンファンドなど(ソフトバンクグループの連結子会社)における同氏の評価損が6800億円超になっているという記事。
「ソフトバンクグループの孫正義社長が個人で出資するビジョン・ファンド(SVF)2号と上場株投資運用子会社のSBノーススターなどにおける同氏の評価損が6800億円超となったことが、同社が開示した決算発表資料で分かった。」
「7-9月期(第2四半期)の決算短信によると、9月末時点の孫社長個人の「未決済残高」として、2号ファンドでは4114億2400万円、ラテンアメリカ・ファンドでは364億4100万円と記載されている。合計は4478億6500万円となり、前四半期末から約4割増えた。また、SBノーススターでの9月末時点の累積損失は2336億200万円と、ほぼ横ばい。」
ソフトバンクグループと孫氏が共同で出資していて、そこで生じた損失のうち契約上孫氏が負担するはずの金額を、未決済残高としているのでしょう。
この未決済残高は、会社からすれば役員である孫氏に対する債権です。カジノにはまった社長への貸付金が問題となった大王製紙の例では、たしか100億円程度の金額でしたが、それとは比べものにならないような巨額であり、個人に対する関連当事者取引の残高としてはたぶん史上最高額なのでしょう。
第1四半期決算の際にも同様の報道がありましたが、その時よりも、金額は膨れあがっているようです。
当サイトの関連記事(孫氏の個人評価損について)
このときみた関連当事者注記によれば、ソフトバンクグループ㈱株式を担保としてとっているようです。
したがって巨額債権が貸倒になる可能性は低そうですが、仮に、担保権を行使した場合にどうなるのかといえば、自己株式の取得ですから、債権は無事回収できるものの、純資産は自己株式取得額だけ減ることになってしまいます。
また、孫氏の個人的損失を減らすために、一般株主や債権者の利益に反するような取引が、ファンドとの間で行われるリスクもありそうです。
ソフトバンクG孫正義氏、会社への未払い金6800億円(日経)(記事冒頭のみ)
「ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長が会社としてのSBGに対し、個人的に約6800億円の未払い金を抱えていることが、SBGの開示資料などで明らかになった。孫氏は投資事業で自身の関与を明確にし、リスクとリターンを共有するため、SBG傘下の各ファンドに出資する約束をしている。ファンドの運用成績が悪化したことで、未払いとなっている資金が増えた。」
四半期報告書(2022年度第2四半期)(ソフトバンクグループ)(PDFファイル)
最も金額の大きな2号ファンドの関連当事者取引注記。
(ソフトバンクグループ四半期報告書より)