東京証券取引所は、平成18年8月29日付で新しい決算短信の様式・作成要領を決定しました。3月に公表された「決算短信に関する研究会報告 ~決算情報のより適切な開示に向けて~」を受けて、見直しがなされたものです。
平成19年3月期決算発表、平成19年9月期中間決算発表から適用されます。
決算短信の総合的見直しのポイント(PDFファイル)
決算短信・中間決算短信作成要領(PDFファイル)
気になった点は以下のとおりです(従来からの問題点も含みます)。
・開示の時期が「期末後45日以内に開示されることが適当」とされ、「期末後30日以内(期末が月末である場合は、翌月内)での開示がより望ましい」といっています。実質的な監査期間が短くなってしまうことについて、何も考えていないようです。
・平成20年4月1日から開始する事業年度以後、四半期報告書制度が適用されることになるため、中間決算短信を廃止の予定とのことです。
・あいかわらず業績予想の開示を求めています。しかも、特定の数値にで予想することを原則としています(レンジで示すのは例外扱い)。監査人の立場からすると、業績予想の公表は、経理操作のインセンティブとなり望ましくありません。
・自己資本比率の算定の際の自己資本が新株予約権や少数株主持分を控除後の数値となっています。自己資本比率が財務の安全性の指標だとすれば、新株予約権や少数株主持分は自己資本に含めるべきでしょう。
・会計方針の開示を省略していいことになっています。本来、財務諸表は会計方針とセットで見なければ、正確な利用はできません。また、会社にとって会計方針は決算作業を行う前からわかっている事項ですから、それを省略したからといって、決算がスピードアップするわけでもありません。まったく無意味かつ不親切な省略です。
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