会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「特定複合観光施設区域整備法に基づく設置運営事業等の監査及び会計に関する省令(案)」(観光庁)

「特定複合観光施設区域整備法に基づく設置運営事業等の監査及び会計に関する省令(案)」に関する意見募集について

(会計士協会のコメント提出により知りましたが)観光庁は、「特定複合観光施設区域整備法に基づく設置運営事業等の監査及び会計に関する省令(案)」を、2021年9月30日に公表しました。

「特定複合観光施設区域整備法...第2章第3節「設置運営事業等の監査及び会計」の規定により、特定複合観光施設に係る設置運営事業等の監査及び会計に関して国土交通省令で定めることとされた事項を定めるもの」とのことです。(要するにカジノの会計と監査の規則の話です。)

概要は以下のとおり(観光庁資料より)。

「1.監査人事業監査報告の作成(第1条関係)(法第 23 条関係)

法第 23 条第1項の規定による監査人事業監査報告の作成方法、報告事項等を定める。

2.認定設置運営事業者等の行為の差止請求に係る報告(第2条関係)(法第 25 条関係)

監査人が認定設置運営事業者等の行為の差止請求をした場合の国土交通大臣への報告事
項を定める。

3.認定設置運営事業者等が行う業務の会計及び監査(第3条~第 38 条関係)(法第 28 条関係)

(1)認定設置運営事業者等が行う業務の会計の整理について、認定設置運営事業者等がよるべき会計の基準、事業年度、勘定科目の分類並びに財務諸表の種類及び様式を定める。(第3条~第5条関係)
(2)認定設置運営事業者等の区分経理の整理方法を定める。(第6条及び第7条関係)
(3)財務報告書の記載事項及び添付書類、提出期限の承認手続等を定める。(第8条~第 10 条、第 15 条及び第 20 条関係)
(4)法第 28 条第6項の規定による監査人財務監査報告の方法、内容等を定める。(第 11 条~第 14 条関係)
(5)財務報告に係る内部統制報告書の作成方法、記載事項等を定める。(第 16 条~第 19 条関係)
(6)四半期報告書の記載事項、作成方法等を定める。(第 21 条~第 25 条関係)
(7)財務報告書等の公告方法を定める。(第 26 条~第 27 条関係)
(8)財務報告書及び四半期報告書並びに財務報告に係る内部統制報告書についての公認会計士又は監査法人の監査証明の基準及び手続等を定める。(第 28 条~第 35 条関係)
(9)公認会計士又は監査法人による法令違反等事実に係る通知方法、国土交通大臣への申出方法等を定める。(第 36 条~第 38 条関係)」

11月中に公布・施行されるそうです(予定)。

四半期開示や内部統制監査まで含む上場会社並みの開示を求めるようです(会計士協会コメントによれば上場会社を超えるような開示)。

「特定複合観光施設区域整備法に基づく設置運営事業等の監査及び会計に関する省令(案)」に対する意見について(日本公認会計士協会)

新型コロナで、インバウンドに頼った事業のリスクがはっきりしたわけですが、カジノはうまくいくのでしょうか。また、日中関係が今後さらに悪化して、中国の金持ちが日本のカジノに行くことを中国政府が禁止したら、たちまち干上がってしまいます。

「一歩間違えば廃墟と化す」カジノ含む日本のIR計画が暗礁に乗り上げている理由(プレジデント)

「現在、IR誘致を公式に表明し事業者の選定を終えたのは大阪府・市、和歌山県、長崎県の3地域。IRの旗振り役だった菅義偉前首相のお膝元であり最有力候補とまでいわれた横浜市が反対派市長の誕生で一転して撤退を決めたことで、政府方針の「最大3カ所まで」という枠に収まる3グループは安堵するかにみえた。しかし事態は全く逆のようだ。

横浜の方針撤回に勢いづいて反対運動も活発化、IR誘致を表明した自治体への風当たりがにわかに強まってきた。」

「「コロナの前と後ではIRを取り巻く環境が全く変わった。“ポストコロナ”に適応した形に見直さなければ必ず失敗する」

双日総合研究所の吉崎達彦チーフエコノミストは、コロナ感染拡大前に作られたIR政策や事業計画を早急に見直すべきだと警鐘を鳴らす。」

「事業計画の策定や事業者選定時期はすでに新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大していた。しかし国交省は「中核施設の開発要件」に沿って巨大施設の建設を既定路線のまま事業計画に盛り込むことを求めている。」

「IR業界に詳しい国際カジノ研究所の木曽崇所長は「国交省は新型コロナ感染前に作った開発要件をコロナ後も全く変えていないが、いまや5000人も集めて会議を行うニーズはない。リモート会議をすればよい」とMICE市場の変貌を指摘する。」

「高率の税制や納付金、10年の権利期間も有力事業者が撤退した要因とみられている。「コロナ後の世界経済のなかで、完成後実質5年程度で投資回収を見込むのは厳しい。横浜のIRから早々に撤退した米ラスベガス・サンズの判断は極めて合理的だった」(吉崎氏)。」



ちなみに、大阪のカジノにはデロイトトーマツが関わっているようです。

https://www2.deloitte.com/jp/ja/misc/search.html?qr=IR&page=1
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