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「会社計算規則の一部を改正する省令案」に関する意見募集の結果について(法務省)

「会社計算規則の一部を改正する省令案」に関する意見募集の結果について

法務省は、「包括利益の表示に関する会計基準」に対応するための「会社計算規則の一部を改正する省令案」に関する意見募集の結果を9月30日に公表しました。

また、同日付で同省令は公布されました。

改正の概要は以下のとおり。

・「損益計算書等には、包括利益に関する事項を表示することができる。」という95条の規定を削除

・連結貸借対照表及び連結株主資本等変動計算書において、「評価・換算差額等」の項目を「評価・換算差額等」又は「その他の包括利益累計額」のいずれかとすることを認める(76条・96条)。(個別の計算書類については改正なし)

・施行日は、本年9月30日

包括利益対応ということですが、結論としては、会社計算書類では包括利益は開示しないということになります。

ただし、パブリックコメントへの法務省の見解によれば、会社が勝手に連結包括利益計算書を作成、開示することは禁止されていないのだそうです。

また、包括利益は不要といいながら、貸借対照表の科目区分では「その他の包括利益累計額」という区分名をとりいれているのもちぐはぐな感じがします(そういうコメントも法務省に寄せられたようです)。

その点は、会社計算規則第3条で「この省令の用語の解釈及び規定の適用に関しては、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準その他の企業会計の慣行をしん酌しなければならない。」とされているので、「その他の包括利益累計額」の区分が義務付けられている(だからしょうがない?)と弁明しています。しかし、第3条は会社計算規則の解釈・適用の際に会計基準・慣行をしん酌するという規定なので、規則上「評価・換算差額等」しか使わないとなっていれば、しん酌するまでもありません。ちょっとおかしな理屈です。

(当サイトでは前から主張していますが、そもそも、包括利益に少数株主の持分も含めることにしておきながら、貸借対照表や持分変動計算書では「その他の包括利益累計額」に少数株主の持分が含まれておらず、会計基準自体がちぐはぐなことになっています。また、手元のIFRSの解説書の設例をみると、IFRSでは貸借対照表や持分変動計算書において「その他の包括利益累計額」という区分は要求されていないようです。)
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