大塚ホールディングスが、米国の製薬ベンチャー企業を約4200億円で買収するという記事。
「大塚ホールディングス・・・は2日、100%子会社の大塚製薬(東京都千代田区)を通じて、米バイオベンチャーのアバニア ファーマシューティカルズ・・・(カリフォルニア州)を買収することで合意したと発表した。」
「1株17ドルで株式公開買い付け(TOB)を実施する。10営業日以内に買付けは開始され、開始後20営業日で終了する。アバニア社の発行済み株式総数の50%超の応募があった場合に買い付けを実施する。買収総額は約35億3900万ドル(約4200億円)となる。業績に対する影響は、詳細が確定次第、開示する予定。」
大塚製薬 アバニア社買収契約締結
神経疾患領域への本格参入により中枢事業拡大(大塚ホールディングス)(PDFファイル)
いったん買収のための子会社を米国に設立して、そこが買い付けを行うようです。
「公開買付け実施者
ビガラード コーポレーション(Bigarade Corporation)
本買収のため、当社は、大塚アメリカの完全子会社として、買収子会社ビガラード コーポレーション(米国デラウェア州法人)を設立しました。本公開買付終了後、ビガラードコーポレーションはアバニア社に吸収合併され、アバニア社は当社の連結子会社となる予定です。」
こういう仕組みにするのは何か法律面などの事情があるのでしょう。会計的には、このビガラード社が、米国会計基準に基づき、いったんアバニア社の資産・負債の評価替え(おそらく多額ののれんやその他の無形資産が新たに計上される)を行ったうえで、アバニア社と合併するのでしょう。(アバニア社が存続会社ですが、逆さ合併であり、買収時に新規または追加で計上されるのれんやその他の無形資産はそのままでは?)
大塚ホールディングスは日本基準なので、連結決算手続上は、米国基準によるアバニア社(合併後)の決算数値をそのまま取り込んだうえで、のれん部分については償却するということになります。
アバニア社の最近の業績は以下のとおりです。赤字が継続しています。買収金額が35億3900万ドルということは、純資産18,471千ドルの200倍弱で買収することになります。
(大塚HDのプレスリリースより)
純資産の簿価と買収金額の差額は、主に、無形資産に配分されるのだと思いますが、その作業の結果次第で、その後の損益にも影響してきます。途中段階の研究プロジェクトの評価などは特に難しそうです。またその会計処理はどのようになるのでしょうか。
日本の製薬会社による海外M&Aではこういう例もあります。
↓
コラム:第一三共が日本の海外M&Aに与えた教訓(ロイター)(再掲)
大塚HD、4200億円買収に"高すぎる"の声(東洋経済)
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