その内容は以下のとおりです(EDINETより)。
「1【提出理由】
平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により被害を受けたため、金融商品取引法第24条の5第4項並びに企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第5号、第12号及び第19号の規定に基づき提出するものである。
2【報告内容】
(1)当該重要な災害の発生年月日
平成23年3月11日
(2)当該重要な災害により被害を受けた当社設備の所在地
主に福島県、茨城県及び千葉県
(3)当該重要な災害により被害を受けた資産の種類及び被害額並びにそれに対し支払われた保険金額
① 被害を受けた資産の種類及び被害額
(百万円)
設備区分 被害額(※)
原子力発電設備 884,501
汽力発電設備 49,724
その他 83,312
合計 1,017,538
※被害額には、復旧費用等が含まれている。
② 支払われた保険金額
支払われる保険金額は、算定までに時間がかかることから現時点では未確定。
(4)当該重要な災害による被害が当社の事業に及ぼす影響
平成23年3月11日、三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震が発生し、当社においても、福島第一及び福島第二原子力発電所をはじめ、火力発電所や流通設備等が大きな被害を受けた。なかでも、福島第一原子力発電所では、史上稀に見る巨大な地震や津波の影響により電源が失われたことなどから原子炉を冷却することができなくなり、原子炉建屋の爆発や放射性物質の外部への放出という重大な事故が発生した。この結果、発電所周辺地域の方々に避難していただかざるを得なくなるとともに、農畜産物・水産物に出荷制限が課されるなど、極めて深刻な事態を引き起こすこととなった。
また、この地震や津波により当社の発電所等が大きな被害を受け、供給力が需要を大幅に下回る見込みとなったことから、不測の大規模停電を回避するためのやむを得ない緊急措置として、多くのお客さまに計画停電をお願いさせていただいた。
この結果、原子力発電所の停止による燃料費の増加、被災設備に係る復旧費用の増加等により当社の業績に著しい影響を及ぼす。
また、福島第一原子力発電所の事故等に関する原子力損害について、わが国の原子力損害賠償制度上、当社は原子力損害の賠償に関する法律(昭和36年6月17日 法律第147号)の要件を満たす場合、賠償責任を負うこととされており、その賠償額は原子力損害賠償紛争審査会が今後定める指針に基づいて算定されるなど、現時点では賠償額を合理的に見積ることができない。
(5)当該重要な災害による被害が損益及び連結損益に与える影響額
平成23年3月期通期の損益に与える影響額は、現時点で見通している資産の復旧等に要する費用または損失を計上したことから1兆175億円となった。さらに連結損益に与える影響額は、1兆204億円となった。
なお、平成24年3月期通期については、現時点で影響額の把握は困難である。」
ちなみに、東北電力は3月31日に臨時報告書を提出し、5月12日に訂正臨時報告書を提出しています。
(感想)
・「合理的に見積ることができない」という理由で賠償金は被害額の中に含めていないようです。
・そもそも、臨時報告書の提出がなぜこんなに遅れたのでしょうか。金融庁は「東日本大震災という不可抗力により臨時報告書の作成自体が行えない場合には、そのような事情が解消した後、可及的速やかにご提出いただくことで、遅滞なく提出したものと取り扱われることとなります」(EDINETより)といっていますが、東京電力は本社が被災したわけではないので、これには該当しないでしょう。金融庁や財務局はどういう指導をしたのでしょうか。
・さんざん報道されているのだから、法定書類提出が遅れても影響はないということはないでしょう。決算短信を出したから有報提出が不要とはならないのと同じです。また、報道が大きいからといって財務的な損害が大きいとは限りません。大きな損害になるということがわかった時点で速やかに正式の報告書提出をすべきでした。もしかすると、臨時報告書が提出されないことで被害が報道ほどは大きくないと判断した投資家がいたかもしれません。
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