会計基準に基づく利益とは異なる「事業利益」や「コア営業利益」など独自の利益指標を開示する企業が増えているという記事。日本基準でない会社について日経が調べたそうです。
「日本経済新聞が8月末時点で国際基準を採用する上場企業204社を対象に調べた。直近期末の決算短信で算出方法が表示されている利益指標を「独自の利益指標」として集計したところ、開示企業は63社と3割を占めた。企業独自の指標は会計原則(GAAP)に基づかないとして、「ノン・ギャップ指標」とも呼ばれる。」
記事の表では、武田薬品工業、三菱ケミカル、アサヒグループホールディングス、日立製作所、すかいらーくが使っている指標を説明しています。
日経は決算短信を調べたようですが、決算短信以外の決算説明資料の中で、独自指標を使っている例はもっと多いかもしれません。
独自指標が増えてきた背景は...
「海外では1990年代以降、独自の利益指標を採用する企業が増えた。「特にインターネット企業で従来の指標では強みを表していないとの不満が強かった」(横浜市立大学の中條祐介教授)。米調査会社によると、2017年にS&P500構成企業のうち独自指標を1つ以上使った割合は97%に上った。日本でも国際基準を適用する企業が増えるのに伴い、独自指標の導入が増えた。」
問題点も...
「増加する企業の独自指標に対し、市場関係者からは懸念の声が上がっている。明治学院大学の山田純平教授は「経営者にとって都合の良いものができる」と指摘する。「企業の実態を表す指標として参考になる一方、会社によっては利益を良く見せたいとのインセンティブが働くので見極める必要がある」(東京海上アセットマネジメントの久保健一氏)との声も聞かれる。」
国際会計基準審議会(IASB)の動向についてもふれています。
日本基準の表示方法がいいという見方もあるようです。
「国際会計基準を導入する企業は増えたが、実務上は経常利益や特別利益などが定められている日本基準へのなじみ深さを指摘する声はなお多い。」
なんでもかんでも特別損失にもっていって、営業利益や経常利益をよく見せようという傾向はありますが...。
non-GAAP指標は海外では規制対象となっていますが、日本ではどこが検討しているのでしょう。企業会計基準委員会はまさに会計基準を検討する組織なので、会計基準外の話は管轄外なのでしょう。それでは金融庁や証券取引所が検討しているかといえば、そういう話はあまり報じられていないようです。
週刊経営財務でも昨年、このトピックは取り上げているようです。
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2016年には、証券監督者国際機構(IOSCO)(日本の金融庁も加盟している)が、非GAAP財務指標の開示について、考え方をまとめたものを出しています。
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