日本公認会計士協会は、リモートワーク対応第2号「リモート棚卸⽴会の留意事項」を、2020年12月25日付で公表しました。
「リモートワーク環境下における企業の業務及び決算・監査上の対応」というプロジェクトの一環として出されたものです。
この報告書は、「リモート棚卸立会による対応を会員が検討し、監査基準委員会報告書に記載された要求事項を遵守するに当たり、リモートワーク環境下における実務上の観点から留意することが考えられる事項を示すものであり、新たな要求事項を設けるものではない」とのことです。
リモート棚卸とは...
「・ リモート棚卸立会の代表的な方法としては、例えば、電話回線又はインターネットを経由して、被監査会社が実施する実地棚卸の状況をビデオカメラにより撮影して監査人に実況を送信する方法がある。
・ リモート棚卸立会を行う場合、監査人は、被監査会社から受信した実地棚卸の状況又は棚卸資産の数量及び状態の実況に関して、電話回線又はインターネット経由により、被監査会社とのコミュニケーションを適時に行い、疑問を解消し、是正の要否に関する協議及び必要に応じた再確認を行う。
・ リモート棚卸立会において実況の送受信及び必要なコミュニケーションを行う場合、実地棚卸の場所・対象資産等の状況によっては、ビデオカメラの内蔵されたスマートフォンのような携帯電話機を活用することで十分に可能な場合があり、大掛かりな撮影及び送信機具は必ずしも必要ではないことがある。
・ リモート棚卸立会においては、被監査会社の撮影者がビデオカメラを所持し、棚卸資産の所在地の実地棚卸の状況や棚卸資産の数量及び状態を隈なく撮影して監査人に送信することが考えられる。 」
この報告書では、「被監査会社が棚卸資産の所在地において実地棚卸を行い、監査人が遠隔地において立会を行う」方式が想定されています。
報告書では、リモート棚卸立会の対象先の選定やリモート棚卸立会の実施における留意事項が示されています。
対象となる倉庫や工場のどこにどういう在庫がどのくらいあるのか、事前によく把握しておかないと、まとはずれな手続になりそうです。また、監査人は全然動かないのに、クライアント側の人には、カメラをもって走り回ってもらわないといけないという点も、抵抗感がありそうです。
(補足)
なお、2021年2月12日までに公表されている「リモートワーク対応」報告書は、これを含め、以下のとおりです。
第5号「リモート会議及びリモート会議ツールの活用について」
第4号「構成単位等への往査が制限される場合の留意事項」
第3号「PDFに変換された証憑の真正性に関する監査上の留意事項」
第2号「リモート棚卸立会の留意事項」
第1号「電子的媒体又は経路による確認に関する監査上の留意事項 ~監査人のウェブサイトによる方式について~」
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