会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

東芝、株主総会運営の問題認める 取締役人事変更も公表(朝日より)

東芝、株主総会運営の問題認める 取締役人事変更も公表

会社と経産省が一緒になって海外株主に不当な圧力をかけていたという報告書を受けて、東芝が、真相究明を行い、責任の所在を明確化するとのコメントを発表したという記事。株主総会に提案している取締役の候補者13人から2人を除くことも決めています。

「2人は、いずれも社外取締役。監査委員長を務めてきた太田順司氏と監査委員を担ってきた山内卓氏だ。

東芝の監査委員会は今年2月、昨夏の総会の運営について「疑いは認められなかった」と結論づけていた。外部調査とは対照的だった。

太田氏は新日本製鉄(現在の日本製鉄)の出身で、日本監査役協会の会長も務めた。山内氏は三井物産の元副社長だ。

また、東芝の豊原正恭副社長と加茂正治常務の2人も執行役を急きょ退く。この2人は外部調査の報告書の中で、昨夏の総会をめぐって経済産業省との交渉を担ってきた、と指摘されていた。」

甘い社内調査の結論を容認すると、監査委員もクビになるということのようです。

東芝のプレスリリース。

調査報告書を受けた当社の対応等について(PDFファイル)

大株主は、4人の辞任を要求していました。その中には、会計士である社外取締役も含まれています。

東芝大株主の3D、取締役4人の即時辞任を要求(ロイター)

「3Dは東芝株7.2%を保有。事情に詳しい関係者によると、書簡は13日に送付された。株主に選任された弁護士3人が10日公開した昨年7月の株主総会の運営に関する調査報告書を受け、永山議長のほか、監査委員会の太田順司委員長、小林伸行委員、山内卓委員の4人が東芝と同社株主の利益に反する行為を行っていると判断した。」

「3Ⅾは書簡の中で、「過去10年間の世界中のあらゆる大企業の中で最も衝撃的かつ顕著なコーポレート・ガバナンス(企業統治)・スキャンダルであるといわざるをえない」と指摘。監査委員会に深い失望感を示し、昨年7月の株主総会で株主権の行使を妨害しようとした経営陣に対し「監督機能を働かせないばかりか、むしろ加担していたと評価せざるを得ない」とした。

その上で、昨年7月の定時株主総会について監査委員会が実施した内部調査は「隠ぺいそのもの」とした。」

会計監査人の結論不表明や限定付意見を完全に無視するような監査委員会は、そもそも存在意義がなかったのでしょう。

コーポレートガバナンスについて、常日頃偉そうなことをいっている金融庁も、スキャンダルに関わっていたという報道があります。

東芝に“モノ言う株主”に経産省が圧力 金融庁も介入加担か(日刊ゲンダイ)

「この過程で、東芝の事実上の依頼に沿い、経産省参与の水野弘道氏(当時)が大株主である米ハーバード大基金に接触したと認定。基金は全議決権を行使しなかったことが東芝側に有利に働いた。

「車谷氏に泣きつかれた官邸は金融庁にも手を回した。東芝株主の海外金融機関に対し、所管官庁の立場から注意喚起をチラつかせ、総会でアクティブファンドに追従しないようクギを刺したそうです」(経産省関係者)」

金融庁は反論すべきなのでは。

(社説)東芝と経産省は統治改革の信頼を損ねた(日経)

「報告書が事実なら東芝と経産省は資本市場を愚弄している。」

「海外投資家からは、表向きは株主との対話で企業の成長力を高めるとうたいながら、裏では政府が不透明な形で株主の口を封じていると受け止められよう。」

上記記事が本当なら、金融庁も批判の対象に加えないといけないでしょう。
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