日本公認会計士協会は、学校法人先端教育機構 社会構想大学院大学による研究報告書「公認会計士の社会的認識の分析を通じた監査の現場力強化に向けた提言」を、2022年6月30日に公表しました。
「本報告書の内容は、現状における公認会計士と企業関係者による監査業務に対する認識の齟齬を量的かつ質的に分析したものであり、公認会計士と企業関係者の相互理解、ひいては公認会計士が資本市場及び被監査会社から期待される能力及び行動を認識することの助けになると考えられます。」
140ページほどの報告書です。
会計士と上場企業にアンケート調査を行ったそうです。
「本研究では、Microsoft forms を用いてインターネット上でアンケートの回答の収集を行なった。アンケートは日本公認会計士協会を通じて、公認会計士及び上場企業に送付および依頼を行なった。実施時期は、2021 年 8 月中旬から 10 月中旬の約2ヶ月で、企業視点のでは 475 件、公認会計士視点では 594 件の回答を得ることができた。」
結論だけ知りたい人は、「本研究の考察結果のまとめと監査の現場力強化に向けた提言」だけ読めばよいかもしれません(69~72ページ)。
その一部。
「公認会計士には、企業それぞれの状況に応じた具体的なニーズを的確に把握した上で、適切なコミュニケーションを行うことが求められていると考えられる。公認会計士は専門家としての知識を有する一方、企業に関する理解や知識は企業に劣ることが多いといった知識の非対称性を勘案し、非専門家でも理解してもらえるようなコミュニケーションをするように配慮することや、被監査企業の状況に応じた適切な助言の提供や、監査手続の内容や発見した虚偽表示に関する丁寧な説明を行うことが重要になるだろう。それが専門職としての価値を高めることにつながると考えられる。」(71ページ)
「公認会計士が非専門家でも理解してもらえるようなコミュニケーションをするためには、公認会計士自身が、公認会計士の業務内容についての内在的な理解のみならず、一般的に公認会計士の業務がどのように認識されているのか、企業の視点からどのように捉えられているのかといった外在的な理解をする必要がある。そのうえで、専門知識を持たない者でも監査が社会的に意義あるものであることを理解できるよう、公認会計士は説明できるようになる必要がある。」(72ページ)
報告書とは別に、協会の所感を記した文書「学校法人先端教育機構 社会構想大学院大学による研究報告書「公認会計士の社会的認識の分析を通じた監査の現場力強化に向けた提言」の公表を受けて」(PDFファイル)も公表されています。そちらにも、報告書における主な分析結果が記載されています。
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