特別調査委員会による調査の進捗に関するお知らせ(PDFファイル)
エン ・ジャパン(東証プライム)のプレスリリース(2023年6月27日)。
英才網聯(北京)科技有限公司という海外連結子会社の総経理による預金私的流用疑惑が発覚し、特別調査委員会による調査が行われていますが、その進捗状況を開示しています。
調査のきっかけは...
「同年(2023年) 5 月初旬ごろ、当社から本件子会社に対して、当社の連結決算作業のため資料及び情報の提出を求めた際、本件子会社が、監査報告書及び銀行預金残高証明書を提出しないという事態に陥りました。更に、当社の会計監査人である EY 新日本有限責任監査法人(以下「EY」といいます。)からも、同年 5 月 9 日に、本件子会社に関して不正の兆候又は不正による重要な虚偽の表示を示唆する状況が存在するという指摘をメール文書で受けたため、当社から本件子会社に対し、改めて強く銀行預金残高証明書の提出を求めると共に、同年 5 月 17 日に総経理にヒアリングを行ったところ、総経理が本件子会社の銀行預金を私的に流用した疑いがあることが発覚しました。その後、同年 5 月 18 日に本件子会社から銀行預金残高が確認できるデータ(インターネットバンキングの画面コピーや通帳の写真等を含みます。)の提出を受け、当該データに記載された預金残高が、本件子会社の帳簿上の預金残高に対して約 1,482 万人民元(約 3 億 500 万円)不足していることが判明しました。」
調査状況は...
「現在までの調査の中で、当社は、銀行口座の預金残高が帳簿上の残高に不足しているのは、総経理による本件子会社からの借入れについて記帳していないためであり、2010 年 1 月から 2016 年 9 月までに合計 1,385 万人民元の借入れを行った旨、及び、借り入れた金銭は、本件子会社の経理担当職員に指示をして、総経理その他の本件子会社の董事等が個人的に保有している法人等の銀行口座に送金させていた旨の説明を受けており、現在、説明内容に係る事実関係や、第三者の口座を送金先とした理由を確認中です。なお、総経理は、ヒアリングに対し、本件子会社の資産のうち、自身の持株比率に相当する49%は自らの資産であり、自身が自由に使えるものであるとの主張や、必要に応じて本件子会社の資金の借入れ及び返済を行っていたことがある旨の説明を行っており、今後の調査過程で、長期間において本事案と同様の事案があったことが判明する可能性も否定できません。
更に、帳簿及び銀行取引明細を入手し調査を行う過程で、2023 年 6 月 16 日に、本件子会社の子会社である北京博纳百通科技发展有限公司から総経理の出資先会社に対して、会計記録には計上されておらず銀行取引明細にのみ記録のある入出金が存在することが判明しました。かかる事態を受け、本件子会社の子会社各社においても類似事案が無いことを確認するため、本件子会社及びその子会社の財務経理担当者をも調査対象としてデジタル・フォレンジックを実施する予定です。
今回の事案の背景は...
「長期間にわたり本事案の存在を発見できなかったのは、当社における本件子会社に対する管理不足によるものであることから(なお、当社が本件子会社に出資してから約 1 年が経過した 2007 年 4月頃から、本件子会社にかかる合弁の解消、すなわち当社の撤退を視野に入れて総経理と撤退方法を協議していたことが、当社が本件子会社の経営を総経理に委ね、管理が不十分となっていた一因でした。また、そもそも本件子会社が当社の内部監査上重要な子会社として位置づけられていなかったことも、全般的な管理不足につながりました。)、当社は、本事案に至った原因を解明し、再発防止につなげるためにも、引き続き、特別調査委員会の調査が迅速に行われるよう、全面的に協力してまいります。」
合弁先との腐れ縁を早く切ればよかったということなのでしょうか。現地経営者が、この子会社を、自分の会社の金庫代わりに使っていたということのようですから、ひどい話です。
そのほか、この子会社では、社会保険料未納の問題の問題もあり、それも平行して調べるそうです。
2023年3月期有報については、期限までに提出できないこととなったとのことです。その後の開示によれば、期限延長が承認されたそうです。