任天堂創業家、東洋建設に株主提案 取締役9人選任要求(記事冒頭のみ)
任天堂創業家の資産運用会社が、東洋建設の株主総会で、社内取締役も含めた9人(有名な弁護士も含まれています)の取締役選任を株主提案するという記事。
「任天堂創業家の資産運用会社は17日、東洋建設の6月予定の定時株主総会で取締役選任の株主提案をすると発表した。社外取締役だけでなく、業務執行にあたる取締役を含めて9人の選任を求める。資産運用会社は2022年から東洋建の買収を計画している。東洋建の取締役会は買収に同意せず、TOB(株式公開買い付け)は先送りになっている。」
会社側の対応は...
「東洋建設は18日、任天堂創業家の資産運用会社「ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス(YFO)」から株主提案を17日に受領したと発表した。提案は9人の取締役候補の選任を6月予定の定時株主総会で求める内容だ。YFO側が東洋建取締役会のガバナンス(企業統治)を問題視している点について同社は「何らの具体的な根拠も示さないまま、同様の主張を繰り返している」と反論した。」
会社はウェブサイト上に特別のページを設けて、関係する開示を掲載しているようです。
YFO関連情報(東洋建設)
当社定時株主総会における株主提案に関するお知らせ(4月18日)(PDFファイル)
任天堂創業家の資産運用会社のウェブサイト。
比較的長めの解説記事。
東洋建設と任天堂創業家ファンド、なぜ全面抗争に突入…門前払いと買収防衛策が仇に(ビジネス・ジャーナル)
当サイトでも以前取り上げましたが、会社側は任天堂創業家資産運用会社側の法令違反を指摘しています。
任天堂創業家VS東洋建設「武力衝突」突入の緊迫感 友好的な協議が一転、激しいパンチの応酬に(東洋経済)
「東洋建設はYFOによる法令違反の疑いとして、主に下記の3点を指摘する。
1点目は金融商品取引法違反の疑いだ。2022年3月から5月にかけて行われた東洋建設株の買い付けにあたり、YFO側は当初、大量保有報告書などに保有目的として「純投資」と記載していた。4月中旬から保有目的を「純投資及び状況に応じて重要提案を行うこと」に変更したものの、「YFOは2022年5月に当社に対して買収を提案していることから、当初から経営権を取ることが目的だったことが容易に推測できる。記載に虚偽の疑いがある」と、東洋建設の宮﨑敦法務部長は指摘する。
2点目は外為法違反の疑いだ。外為法上では、外国人投資家が株式保有比率が10%を超える場合は事前届け出が必要だ。YFOはケイマン諸島の「WK1~3」を使って投資し、5月時点でYFOの株式保有比率は合計で27%を超過した。「WK1~3それぞれは10%未満の保有比率だが、本来は事前届け出が必要だったのではないか」(宮﨑法務部長)。
3点目は金融法(インサイダー取引規制)違反の疑いだ。東洋建設は2020年ごろ、シンガポール籍のアクティビストファンドと資本政策の検討に係るアドバイザリー業務委託契約を交わしていたが、このアクティビストファンドの担当者として、現YFOの最高投資責任者である村上皓亮氏が入っていた。
つまり、「村上氏は(YFOが東洋建設の株式を買い付けた時点で)一般株主が知り得ない情報について知っていた」(宮﨑法務部長)という。「これらの情報には、『業務等に関する重要事実』が含まれていた可能性がある」と宮﨑法務部長は述べる。
こうした主張に対し、YFOは3月28日付のリリースで「(指摘されている内容については)いずれの点についても、規制当局から当社らの行為に問題があるとの指摘を受けておりません」と反論。さらには、同リリースにおいて「極めて表層的な情報を報道機関に提供し、当社らの評判を落とそうとする印象操作」(*編集部で一部編集)とまで踏み込んで記述した。」
「「YFOは当社株をしばらく保有する可能性はある。しかし、なぜ当社にこだわるのか。もっと自分たちの得意な分野(先進的な技術を持つスタートアップなど)に投資したほうが有益ではないだろうか」と、東洋建設のベテラン社員はYFOの姿勢を訝しむ。」
任天堂創業家ともあろうものが、村上ファンドの二番煎じみたいなことをやっているというのは、なさけない...。
こちらの会社も、ファンドに狙われています。
香港ファンド責任者「フジテック社長再任案なら反対」(日経)(記事冒頭のみ)
「香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントのセス・フィッシャー最高投資責任者は日本経済新聞の取材に応じ、エレベーター大手フジテックについて、岡田隆夫社長の取締役再任議案が6月の定時株主総会で諮られた場合、反対する方針を明らかにした。フィッシャー氏は岡田氏が「コーポレートガバナンス(企業統治)の乱用を起こしてきた」と批判した。」
オアシス「フジテックは執行部刷新が必要」-社長再任案なら反対(ブルームバーグ)
「フィッシャー氏は、フジテックは岡田隆夫現社長が率いる経営体制に別れを告げ、新たな経営陣の下で前に進む時が来たと言及。オアシスが推薦した海野薫氏が議長を務める現在の取締役会を信頼しており、経営改革がなされるとの期待を示した。
6月に開催予定のフジテックの定時株主総会でオアシスは株主提案をしない予定だが、会社から岡田社長の取締役再任議案が出されれば反対するとした。」
フジテックの場合は、あやしい関連当事者取引で隙を見せたのがよくなかったのでしょう。