東芝の2017年3月期第3四半期決算で監査人から意見(結論)不表明の報告書が出て、本決算でも不表明になる可能性が高いことを取り上げた解説記事。「これは監査制度の危機だ」といっています。
東芝の姿勢は...
「こうした状況に対する東芝の姿勢には、「開き直り」を感じさせる。社内向けの説明や記者会見でPwCあらたの監査について不平不満とも聞こえる解説を行ったのだ。
監査法人の言う事に対応しても、次から次へと課題が指摘されるとし、あたかも、監査意見が出ないのは監査法人の姿勢に問題があると言わんばかりだった。監査法人のすげ替えの話がメディアに流れたのも、こうしたタイミングだった。」
会計士協会の姿勢は...
「これは監査制度の危機だ。東芝の行動は「監査意見なんて無くてもいい」と言っているに等しいからだ。日本の資本市場の歴史の中で、ここまで堂々と開き直って、監査制度をコケにした企業は無かった。
にもかかわらず、監査法人や会計士の間からは、東芝の姿勢を厳しく断罪する声が挙がらない。昨年7月に日本公認会計士協会の会長に就任した関根愛子氏は、「監査制度の信頼回復」を掲げて会長選挙を勝ち抜いたが、一向に東芝を強く批判する発言はしていない。
それどころか、記者会見で「監査法人は自分たちの納得のいくまで会社側と話すことが必要」と述べて、担当のPwCあらたがもっと東芝と意思疎通するよう求めるかのような発言をしている。」
これは好意的に解釈すれば、会計士は謙虚だということなのでしょう。一般論としては、監査は、さまざまな判断の積み重ねであり、監査人側が常に100%正しいとはいえません。また、会長はあらた出身なので、会社を批判してあらたを応援するようなことも言いづらいのでしょう。
東芝の会計・監査をめぐるこうした膠着状態を打開するためには、やはり、当局がその役割をきちんと果たすことが重要でしょう。東芝粉飾決算が発覚したのは、金融庁(監視委)への内部通報がきっかけですが、今回の監査人からの「不表明」の報告書は、東芝の決算があやしいという公開の通報なわけですから(どこがあやしいかも書いてある)、虚偽記載を取り締まるという立場から、金融庁が東芝を徹底的に調べれば、解決するのではないでしょうか。
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