Predator: The Secret Scandal of J-Pop
英国のBBCで、日本の大手芸能事務所創業者についてのドキュメンタリーを、3月7日に放送するそうです。約1時間の長さのものです。
Johnny Kitagawa’s legendary male-only talent agency trained young boys to become superstars. But for over 50 years, Japan has kept Kitagawa’s dark secret – a long history of allegations of sexual abuse, made by boys in his agency. Even after the music mogul’s death in 2019 the Japanese media remained largely silent. Why? Journalist Mobeen Azhar explores the suffocating reality of being a J-pop idol, the influence that Kitagawa had on the media and exposes the brutal consequences of turning a blind eye.
辞書を見ると、predator は、捕食者ですが、金銭的また性的に人を食いものにする者のことも指すようです。
BBCは文春にも取材したそうです。
「1999年以来、絶望しきっています」BBCも注目するジャニー喜多川の性的虐待問題、日本のメディアが“無視”するワケ(2022年12月)(文春オンライン)
「週刊文春は一連の告発キャンペーンで、ジャニーズ事務所の教育的配慮の欠如や不公正な労働条件、不当な報酬配分などの人権蹂躙を指摘。好奇心を煽る単なるスキャンダルとしてではなく、声なき弱者の声を拾い、事実を可能な限り客観的に伝え、世に問うことが主眼だった。」
「BBCは以前からこの報道に関心があり、22年夏にロンドンから取材のために来日。当時取材班のひとりだった筆者は、文藝春秋で元同僚と共に撮影インタビューを受けた。
ジャーナリズムを専門に学び多くの取材現場を経験した優秀なBBCのスタッフは記事を熟読・研究しており、独自の取材を並行して進めていたが、詳細な証言に基づく文春の報道内容に大きな衝撃を受けていた。と同時に、「これが長年問題にされない日本はどうなっているのか」と、ありえないとばかりに首を横に振り、深刻な人権問題だと強く訴えた。」
ジャニー喜多川氏、87歳で死去 男性アイドル市場で長年圧倒(2019年)(BBC)
「一方で、物議をかもす人物でもあった。どれも証明されなかったが、パワハラと性的虐待の告発が繰り返された。
ジャニーズ事務所は業界であまりに圧倒的な存在だったため、ジャニー喜多川氏を批判することはほとんど不可能だった。強大なジャニーズ事務所を脅かそうと挑む人は、日本の主要メディアには皆無だった。」
単なる国内の芸能スキャンダルから国際的な人権問題に格上げされれば、関係している企業にも影響があるのでは。
(補足)
英BBC、ジャニー喜多川氏のドキュメンタリー放送へ 「暗部」追及を予告(JCAST)
「英公共放送BBCで2023年3月7日、ジャニーズ事務所を創業したジャニー喜多川氏(故人)のドキュメンタリーを放送する。」
「放送は、2月27日までに公式サイトで発表された。BBC TWOで21時(現地時間)から放送し、BBCワールドでも放送を予定する。約1時間の番組で、ジャーナリストのモビーン・アザール氏がレポーターを務める。
番組タイトルは「プレデター:Jポップの秘密のスキャンダル」。「日本は50年以上にわたり、ジャニー喜多川氏の暗い秘密を守ってきた」と指摘し、日本のメディアは喜多川氏の2019年の死去後も「ほとんど沈黙を貫いた」と問題視する。
「アザール氏がJポップアイドルの息苦しい現実、ジャニー喜多川氏がメディアに与えた影響を探り、見て見ぬふりをすることの残酷な結末をあぶりだす」と予告した。」
ジャニー氏の性加害疑惑をBBCが放送へ…思い出されるジャニーズの海外記者“懐柔”劇(日刊サイゾー)
「BBCが、現地時間で3月7日21時から『Predator: The Secret Scandal of J-Pop(性犯罪者:J-POP界秘密のスキャンダル)』というドキュメンタリー番組をBBC TWOチャンネルで放送することを発表した。番組は、ブリトニー・スピアーズの成年後見人問題を取り上げた『The Battle for Britney』などでも知られるジャーナリストが手掛けた。」
(補足2)
3月7日に放送された番組の内容が紹介されています。
加害が明るみに……それでも崇拝され 日本ポップス界の「捕食者」(BBC)(動画あり)
「こうした厳しい内容の証言が複数あったにもかかわらず、週刊文春の一連の記事は世間にほとんど響かなかった。
なぜ無視されたのか。それには、「喜多川帝国」と日本メディアの共依存関係が大きく関わっているのかもしれない。
「ジャニーズ事務所のタレントを起用すれば、視聴者も読者も広告費も稼ぐことができる。ジャニーズ事務所の若手グループを売り出せば、事務所との関係は良くなり、ジャニーズの大物人気スターの出演を確保しやすくなるかもしれない。一方で、ジャニーズ事務所や所属アイドルについて否定的なことを言えば、逆の効果が待っている。ジャニーズ帝国からはじき出され、帝国が生み出す収益の恩恵を受けられなくなる。
ほとんどの日本メディアが、喜多川氏の問題行為について触れることすらしなかったのは、そのためかもしれない。」
「東京高等裁判所は2003年7月の判決で最終的に、文春の報道について、「セクハラ行為」に関する記事はその重要な部分において真実であることの証明があったと認めた(ただし、「少年らに対し、合宿所などで日常的に飲酒、喫煙をさせている」という記事の主張は、事実と異なると裁判所は認めた)。
だがこの判決も黙殺された。名誉棄損訴訟は刑事裁判につながらなかった。喜多川氏は訴追されることなく、亡くなる2019年まで、ジャニーズ事務所の社長を務め続けた。」