「旧ビッグモーターの倒産劇」に映る2つの潮流 中小零細企業の倒産にも増えた「事業存続型」
最近の倒産事例の特徴などについて、帝国データバンクの人に聞いたインタビュー記事。
旧・ビッグモーターの整理は、「事業存続型」なのだそうです。
「この会社自体は倒産手続きに入ったのですが、事業や雇用はWECARS(ウィーカーズ)という別の会社に引き継いでおり、残った債務などの負の部分を民事再生手続きで整理する形です。これを当社では「事業譲渡型」「事業存続型」の倒産と呼んでいて、その象徴的なケースだったと思います。」
ビッグモーターが中小企業なのかは疑問ですが、このようなスキームが使われている業種もあるそうです。
「――例えばどのような業態でこのスキームが使われていますか?
地方のホテル・旅館などです。伝統のあるブランドや施設などがあって、一定の固定客がいる。ただ、過去に膨らんだ債務が重しになって、経営が苦しくなっている。そこで、倒産手続きに入る前に従業員の雇用やブランドなどの価値ある部分はほかの会社に譲渡し、残った負の部分だけを倒産手続きで処理する。そういうパターンですね。」
もうひとつの旧・ビッグモーターの特徴は...
「――旧・ビッグモーターの案件でもう1つ気になったのは、不正が明るみに出てから倒産に至るまで、短い期間で進んだということです。
そうですね。当社では法令違反などが外部に発覚したのちに倒産するケースを「コンプライアンス違反倒産」と分類していますが、その特徴の1つがまさに、不正の発覚から倒産までの期間が短い、というものです。
この背景には、取引先や金融機関がコンプライアンス違反をした企業への見方、接し方をより厳しくしているという事情があります。一般消費者のこうした企業に対する目線がより厳しくなっているため、金融機関の対応もより厳しくせざるをえないというのが実態だと思います。」