会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

米中対立、資本市場にも火種 中国 対抗の構え(日経より)

米中対立、資本市場にも火種 中国 対抗の構え

米中の対立で、中国企業の有価証券に投資している投資家に影響が出るような対抗策を中国が考えているという見方があるという記事。

「米国側は上院が中国企業を念頭に会計検査を拒んだ外国企業を上場廃止する法案を可決するなど、対中姿勢の硬化が鮮明だ。対抗して中国当局も米国投資家をリスクにさらす手段を打ち出すとの観測がくすぶる。」

中国企業の子会社が発行する社債につけられているキープウェル条項を無効にする動きがあるそうです。

「中国側が米国への対抗策として利用するのではないかと投資家が懸念を募らせているのが「キープウェル」と呼ばれる条項だ。一般に、親会社が子会社の財務を良好な状態に保つことを約束する内容で、海外で社債を発行して資金調達する子会社を支援するために付けることが多い。

「キープウェルを付した債券は(支援の対象として)検討しない」。5月上旬。経営再建中の国有企業、北大方正集団の表明が伝わると債券市場に動揺が走った。

北大方正は子会社が発行したドル建て社債17億ドル(1830億円)にキープウェルを付与しているが、償還が危ぶまれている。」

「キープウェルが機能しなくなると、子会社の資金繰りへの懸念から社債の価格が下落するなど、特に米投資家が影響を被るリスクがある。格付け会社大手のフィッチ・レーティングスは、同条項がつく中国企業の社債は960億ドル(10兆円強)にのぼると指摘する。」

日本でいえば経営指導念書みたいなものでしょうか。かつては、そうした念書を差し出している親会社で、債務保証の注記が必要か、子会社が危ない場合は引当金計上が必要かなどが問題になっていましたが、連結中心になって、あまり議論されなくなったようです。

また、米国上場の中国企業が使っている変動持分事業体という仕組みも、法的にあいまいで、ターゲットにされる可能性があるそうです。

「米国で上場する中国企業の株式では、中国の法規制を回避するため使われる「VIE(変動持ち分事業体)」と呼ばれる仕組みに不確実性があるとされる。...

VIEはアリババ集団や百度など、米国に上場する中国企業に幅広く採用されている。海外投資家は企業の株式を直接保有するのではなく、様々な契約を通じて同等の権利を確保する。

だが、現時点では中国の法律にはあいまいな部分が残り、今後の動向によっては海外投資家が権利の制約を受けかねない。14年に米上場を果たしたアリババも、目論見書に、VIEが外資規制に抵触すると中国政府が判断した場合に、投資家が損失を被る可能性を記載している。」
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