会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

Loophole Lets Bank Rewrite the Calendar

Loophole Lets Bank Rewrite the Calendar

巨額不正取引事件があったソシエテ・ジェネラル銀行の2007年決算で、2008年1月の不正発覚後に生じた損失64億ユーロを2007年に繰り上げて計上した特殊な会計処理を取り上げたコラム記事。

ソシエテ・ジェネラルは、2007年の決算で損失を2007年に取り込み、巨額取引を不正に行っていたJérôme Kervielトレーダーが稼いだ15億ユーロの利益と相殺しています。

In its financial statements for 2007, the French bank takes the loss in that year, offsetting it against 1.5 billion euros in profit that it says was earned by a trader, Jérôme Kerviel, who concealed from management the fact he was making huge bets in financial futures markets.

アニュアルレポートでソシエテ・ジェネラルは、国際会計基準のいわゆる「真実かつ公正」条項を行使したといっています。この条項は、会計基準に準拠することがあまりにミスリーディングであるため、財務諸表の目的と衝突するような非常にまれな状況においては、会社は基準から逸脱することができるというものです。

In its annual report released this week, Société Générale invoked what is known as the “true and fair” provision of international accounting standards, which provides that “in the extremely rare circumstances in which management concludes that compliance” with the rules “would be so misleading that it would conflict with the objective of financial statements,” a company can depart from the rules.

ヨーロッパにおいて、この条項はほとんど使われておらず、また米国においても同様の条項が行使されたことは皆無に近いという状態です。あるヨーロッパの監査人は40年間でこの例外条項が行使されたケースに一度も遭遇していないといったおり、別の監査人は基準制定時に想定していなかった非常に複雑な年金の処理に関するものがあっただけだといっています。

In the past, that provision has been rarely used in Europe, and a similar provision in the United States is almost never invoked. One European auditor said he had never seen the exemption used in four decades, and another said the only use he could recall dealt with an extremely complicated pension arrangement that had not been contemplated when the rules were written.

ソシエテ・ジェネラルは、Ernst & Young と Deloitte & Toucheの2監査事務所が、この会計処理を認めており、フランスの監督当局も同様であるといっています。

Société Générale said that its two audit firms, Ernst & Young and Deloitte & Touche, approved of the accounting, as did French regulators.

このコラム記事では、国際会計基準に、米国のSECのような、会社が会計基準に準拠しているかどうかの最終的な判断をおこなう権限を持つ機関がないことを指摘しています。

この点は日本も同様かもしれません。形式的には金融庁がそうした権限を持っているのかもしれませんが、いきなり金融商品取引法違反の刑事事件となって、裁判所が会計基準への準拠を判断するケースが多いように思われます(例:ライブドア事件)。

また、「真実かつ公正」条項に関しては、日本には存在しませんが、もともとの基準に抜け穴が多すぎて、使うまでもなかったというのが実態でしょう。

当サイトでもこの問題は以前取り上げています。
当サイトの関連記事
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事