財団法人「日本漢字能力検定協会」が、理事長の経営する広告会社に業務を委託しながら、実際には協会職員に業務をさせていたという記事。
「文科省の調べによると、大久保理事長が代表取締役を務め、息子の大久保浩副理事長ら親族が役員を占める広告会社「メディアボックス」(京都市)に対し、協会は漢字検定の広告出稿や広報活動などの業務を委託し、06年4月~08年12月に計7億6千万円を支払った。しかし、協会関係者らによると、下請けする広告会社などとの交渉や契約業務は長年、協会職員が担当していた。協会側は支払いの際、下請け業者に請求書のあて先をメディアボックスにするよう要求。同社の経理事務も協会職員がしていたという。」
一般企業でも、こうした公私混同的取引はあると思います。しかし、上場企業のレベルになれば、株式公開などの際にチェックを受けるため、ひどいケースはまれでしょう。また、上場企業に限らず、民間企業であれば税務調査による牽制もかかっています。
公益法人(学校法人なども同じですが)の場合も、規模、社会的影響度、税金を原資とする補助金の有無などに応じて、きちんとしたガバナンスを確立すべきはずですが、営利企業の上場のようなイベントがないので、いくら大きくなってもいいかげんなままなのでしょう。
文科省やマスコミは、利益が出ていることを問題にしているようですが、それは少し違います。公益法人は利益の配当はできないはずなので、利益を出したからといって、理事長らが儲かるわけではありません。もちろん、非常識な高額報酬やファミリー企業への業務委託による利益の移転があれば問題ですが、利益を出すこと自体は、赤字を出して国や地方自治体などからの補助金で補てんするよりはましです。
漢字検定協会の場合、補助金は投入されておらず、官庁相手の独占的商売で利益をあげているわけでもないようですから、税金の無駄遣いがあるわけでもありません。(税務上の優遇を受けていれば、広い意味で税金の無駄遣いといえるかもしれませんが)
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