「オリンパス事件」仕立て上げられた「指南役」の収監直前「独占告発」(中)
「オリンパス事件」仕立て上げられた「指南役」の収監直前「独占告発」(下)
オリンパス粉飾事件の共犯として実刑が確定した、投資コンサルティング会社社長、横尾宣政氏の主張をまとめた記事。同氏は、当初から一貫して無罪を主張してきたそうです。
「事件は最終的に、粉飾決算を主導した当時の経営陣のうち菊川剛前社長、森久志前副社長、山田秀雄前常任監査役らを金融商品取引法違反(有価証券報告書虚偽記載罪)容疑で逮捕(肩書はいずれも当時)し、投資会社の社長らが「共犯」として逮捕されたことで終息した。
共犯とされたのは、投資コンサルティング会社「グローバル・カンパニー・インコーポレイテッド(GCI)」の社長だった横尾宣政氏、取締役だった羽田拓氏、前取締役だった小野裕史氏である(別ルートで共犯として立件された人物らもいた)。
それらの刑事裁判のうち、元経営者らは当初から罪を認め、判決も有罪ではあったが執行猶予がついた。
ところが、横尾氏ら3名は一貫して無罪を主張。判決も、横尾氏が懲役4年、羽田氏が懲役3年の実刑であり、小野氏が懲役2年、執行猶予4年だった。
主犯である経営陣らは早々に保釈も認められ、判決も執行猶予付き。一方、共犯とされた横尾氏らは、無罪を主張し続けたため2年半以上も勾留され続け、実刑判決である。」(編集部による部分)
最後の方で監査法人を強く批判しています。
「では、このオリンパス事件で一番悪いのは誰なのか、どこなのか。私はまず、朝日監査法人(現・あずさ監査法人)だと思っています。
1992年、当時野村證券浜松支店にいた私に、山田氏から電話がありました。450億円の損失を出した、と言うのです。どうやら、決算対策商品で失敗したようでした。そこで監査法人に対してどうするのか、と問うと、山田氏は「全部話します。そうでないと、(決算、すなわち有価証券報告書を)認めてもらえない」と。さらに、「例年こうしてきたし、これからもそうしていく」というのです。
ということは、朝日監査法人は、運用失敗で巨額の損失を出していながら、それには全く触れずに監査をして承認していたということになります。つまり長年にわたって、朝日監査法人は粉飾決算を見て見ぬふりをしていたわけです。しかもオリンパスは、粉飾を続けている最中にも平気で社債を発行している。それを許した朝日監査法人の責任は重いと思います。
そしてもちろん、LGT銀行の責任も大きいと思います。」
これだけだと、何か言いがかりを付けているだけのようにも読めます(そもそも1992年当時は時価会計導入前であり、著しい下落でない限り金融商品の含み損を処理しなかったり、別の金融商品に損失を移し替えたりすることは、必ずしも会計基準違反ではなかった)。しかし、横尾氏が作成した詳しい資料(オリンパス事件の解説、朝日監査法人の不正など)をみると、それなりの根拠があって主張しているようです(ただしたいへん読みにくく、たぶん、登場する会社・銀行・ファンド・官庁・人物や行われた取引の一覧表と、出来事の年表をつくらないと正確には理解できそうにない)。オリンパスが行ってきた、飛ばし取引などの実態を知りたい方には、臨場感があって、参考になると思われます。
また、この記事によると、横尾氏の支援者が、監査法人を刑事告発する準備を進めているそうです。
「横尾氏はオリンパスの巨額粉飾を監査法人は間違いなくある時期からは知っていたはずだと断じており、横尾氏に代わって支援者がその証拠とともに監査法人を刑事告発する準備も進めているという。」(編集部による部分)
「著者は拘置所に事件関連資料を取り寄せて徹底的に読み解き、検察が構築し裁判所が追認したデタラメなシナリオを完全論破、事件の真相を独力で明らかにした。」(宣伝文より)