企業会計基準委員会は、企業結合会計基準および関連するその他の会計基準等の一部改正を、2013年9月13日付で公表しました。
改正されるのは、企業結合会計基準のほか、連結財務諸表に関する会計基準、事業分離等に関する会計基準、貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準、株主資本等変動計算書に関する会計基準、包括利益の表示に関する会計基準、1株当たり当期純利益に関する会計基準などです。
改正の概要は以下のとおりです。(「本会計基準等の概要」を参考にしました。)
1.支配が継続している場合の子会社に対する親会社の持分変動
・子会社株式の追加取得・一部売却および子会社の時価発行増資等の場合、損益は計上せず、親会社の持分変動による差額を、資本剰余金に計上
2.非支配株主持分の表示
・従来の「少数株主持分」は「非支配株主持分」に変更
3.当期純利益の表示
・現行の「少数株主損益調整前当期純利益」を「当期純利益」とした(現行の「当期純利益」は「親会社株主に帰属する当期純利益」)。
・「当期純利益」に「非支配株主に帰属する当期純利益」を加減して「親会社株主に帰属する当期純利益」を表示(2計算書方式の場合)。または、「当期純利益」の直後に「親会社株主に帰属する当期純利益」と「非支配株主に帰属する当期純利益」を付記(1計算書方式の場合)
4.取得関連費用の取扱い
・企業結合における取得関連費用は発生した事業年度の費用として処理
・主要な取得関連費用を注記により開示
5.暫定的な会計処理の確定の取扱い
・暫定的な会計処理の確定が企業結合年度の翌年度に行われた場合、企業結合年度の財務諸表に、暫定的な会計処理の確定による取得原価の配分額の見直しの影響を反映
6.その他
・連結株主資本等変動計算書において、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」へ変更
・連結で1株当たり当期純利益に関する会計基準を適用する際には、「当期純利益」は「親会社株主に帰属する当期純利益」とする。
適用は、2015年(平成27年)4月1日以後開始する連結会計年度・事業年度からですが、早期適用が認められる項目もあります。表示方法に係る事項を除き、遡及適用を行わないことができます。
(子会社株式の追加取得により多額ののれんが計上されている会社は、遡及修正する方がのれんの償却費や減損が生じなくなるので有利かもしれません。)
なお、子会社株式を一部売却した場合ののれんの未償却残高の扱いについては、公開草案から変更があったようです。
「・・・親会社と子会社の支配関係が継続している状況下で、子会社株式を一部売却した場合等におけるのれんの未償却額の取扱いについては、減額する方法及び減額しない方法のそれぞれに一定の論拠があると考えられるが、のれんを減額する場合における実務上の負担や、のれんを減額しないこととしている国際的な会計基準における取扱い等を総合的に勘案して、支配獲得時に計上したのれんの未償却額を減額しないこととした。」(連結会計基準66-2)
当サイトの関連記事(公開草案について)←改正(案)に関する感想等を書きました。草案からあまり変わっていないので、今回の改正に対する感想でもあります。
その2←米国の通信会社ベライゾンが約13兆円分の子会社株式追加取得を行うことが先日報じられましたが、資本取引という扱いで、のれんの計上はないのでしょう。
最近の「企業会計基準委員会」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事