オーストラリア会計基準審議会(AASB)と韓国会計基準審議会(KASB)の共同研究プロジェクトを取り上げた記事。「文化的背景や言語の違いから生じるIFRSの解釈の不一致について」調べたものです。
具体的には、可能性(likelihood)を表すさまざまな用語とその解釈の違いに着目しています。「IFRSには、この蓋然性を表す用語が少なくとも35語含まれています」とのことです。
「研究は、「probable(可能性が高い)」と「likely(見込みである、可能性の高い)」、「virtually certain(ほぼ確実)」と「reasonably certain(合理的に確実)」、および「highly unlikely(可能性が極めて低い)」と「extremely unlikely(可能性が極めて低い)」などの用語が、それぞれ韓国語で同じ用語に翻訳されており、英語の微妙なニュアンスの多くが失われていることが確認されました。」
「同様に、法域が異なると、可能性(likelihood)を表す用語の数値的な蓋然性も異なります。例えば、オーストラリアで解釈される、「probable(可能性が高い)」や「reasonably possible(合理的に可能性がある)」の蓋然性の数値レベルは、韓国における同じ用語の解釈と比較して、10%低くなっています。逆に、「unlikely(可能性が低い)」や「highly unlikely(可能性が非常に低い)」については、オーストラリアの方が韓国の同義語に比べて10%高い蓋然性で解釈されています。」
手元の英和辞典をみると、可能性(likelihood)を表す言葉の中でも、possible (これも「可能性」ですが、少しでも可能性がある場合です)と probable は英語でははっきり区別するそうです。また、likelyは、probableに近い「ありそうな」、certainは「きっと起きる、確実な」なので、probableより起きる確率は相当高いのでしょう。辞書では、こういう個々の言葉の区別ぐらいは書いてありますが、そこに、reasonablyとか、virtuallyとか、highlyとかがついたり、unがついてunlikelyとなったりすると、韓国語だけでなく、日本語でも、確率の高さの順番を誤解されないように翻訳するのは、かなり難しそうです。(公式の翻訳は、いろいろと工夫しているのでしょう。)
研究の提言は...
「この研究は、いくつかある提言の中でも特に、国際会計基準審議会(IASB)に対して、使用する可能性(likelihood)を表す用語数を減らし、数を限定した1組の用語を確立することを提言しています。さらに、さまざまな法域における翻訳と解釈上の論点について具体的なインプットを求めるため、基準設定のアウトリーチや協議プロセスの実施することを奨励しています。」
概念フレームワークとの関係についてもふれています。
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