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「特別目的の財務報告の枠組みに準拠して作成された財務諸表の監査」ほかの草案公表(日本公認会計士協会)

「監査基準委員会報告書800「特別目的の財務報告の枠組みに準拠して作成された財務諸表の監査」、監査基準委員会報告書805「個別の財務表又は財務諸表項目に対する監査」及び関連する監査基準委員会報告書の改正に関する公開草案の公表について

日本公認会計士協会は、監査基準委員会報告書800「特別目的の財務報告の枠組みに準拠して作成された財務諸表の監査」と監査基準委員会報告書805「個別の財務表又は財務諸表項目に対する監査」の公開草案を、2013年12月13日に公表しました。併せて、関連する監査基準委員会報告書の改正案も公表されています。

これらは、本年11月19日に企業会計審議会から公表された「監査基準の改訂について(公開草案)」を踏まえて検討されたものです。

2つの報告書案は、監査人が、特別目的の財務報告の枠組みに準拠して作成された財務諸表の監査(800)、あるいは、個別の財務表又は財務諸表項目に対する監査(805)において、他の監査基準委員会報告書を適用する際に、(1) 監査契約の締結、(2) 監査の計画と実施、(3) 意見の形成と監査報告、に関連して特に考慮すべき事項に適切に対処するためのものであるとされています。

このうち、「特別目的の財務報告の枠組み」については、「特定の利用者の財務情報に対するニーズを満たすように策定された財務報告の枠組み」と定義されており、以下のような例が示されています。

・社債、借入、匿名組合出資又はプロジェクトの補助金等の契約書において定められている財務報告に関する取決め
・規制当局がその要求事項を満たすように設定した財務報告に関する規則等
年金基金の財務諸表の作成基準

また、一般目的の財務報告の枠組みなどを修正したものとして以下の例が挙げられています。

・会社計算規則に基づき貸借対照表及び損益計算書を作成するとともに、注記表の一部の項目のみを表示する場合の財務諸表の作成基準
・会社計算規則に基づく計算書類に財務諸表等規則によるキャッシュ・フロー計算書を追加した財務諸表の作成基準
中小企業の会計に関する基本要領に基づいた財務諸表の作成基準

両報告書とも、「意見の形成と監査報告」のところが一般の監査とだいぶ異なるようです。

協会プレスリリースによれば、「財務報告の枠組みの区分や受入可能性等の考え方に関するQ&Aなど、追加的なガイダンスの提供を今後行っていく予定」とのことなので、実務的には、監査対象となる財務諸表や計算書の種類ごとに、そうしたガイダンスに従って、監査契約可否の判断を行い、監査を実施していくことになりそうです。監査の対象とすることができる財務諸表などの範囲は少し広がることになるのでしょう。
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