東京大学が研究費を年度内に使い切ったことにするため、業者に備品などを発注したように装って虚偽の経理書類を作らせるなどの不正経理をしていたという記事。不正な支出は04年度だけで総額30億円超だそうです。
「問題となったのは、国や地方自治体、独立行政法人などから受けた受託研究費や運営費交付金などの資金で実施された研究活動に関する経理処理。工学部や医学部など主に理系の部局の教授らが、余った研究費を使い切ったことにしようと実験装置や試料など消耗品や備品を購入したことにして、取引業者側には日付などを偽った納品書や請求書を作成させた。」
今回問題となったのは消費税の脱税(架空の課税仕入)ということですが、補助金の不正受給にもつながる不正ですから、これが私立学校であれば大問題となることでしょう。不正をした人達は、単に期ズレの問題だから、不正ではないと考えているのかもしれませんが、取引先と共謀し書類を偽造して、商品やサービスの給付を受けていないのに、支払を行ったのですから、立派な不正です。さらに、取引先には前渡金を提供したことになりますが、もし取引先がその間に倒産でもしたら、前渡しになっている金額はまるまる損失となるわけであり、そうしたリスクを大学に負わせた責任もあります。
監査の立場から考えてみると、経費に関しては、個々の経費をチェックするという手続はあまりやらないで、経費支払いの内部統制をテストしたうえで、予算や前年数値との比較分析をやって、すませるケースが多いと思います。しかし、予算との比較というのは、予算の精度が高いことが前提ですから、あまりあてにはできないのかもしれません(むしろ差異がない方があやしい)。
私立大学で同じような不正があれば、例えば、こういうふうになります。↓
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