会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

書類不備で多額の課税 三井住友信託など相次ぎ敗訴(日経より)

書類不備で多額の課税 三井住友信託など相次ぎ敗訴(記事冒頭のみ)

形式的なミスで多額の課税を受ける企業が相次いでいるという記事。

「申告書類の不備など形式的な理由で多額の課税を受ける企業が相次いでいる。三井住友信託銀行やサンリオは裁判で争ったが敗訴が確定した。専門家は「小さなミスも重い税負担を招く」と企業に税務体制の強化を促す。ただ最近は形式要件より租税回避の実態を重視する判決も出た。今後の司法判断や国税当局の対応が注目される。」

三井住友信託の例は、米国で発行した8億5千万ドルの社債の利息にかかる源泉税に関するものです。

「一般的に日本企業が海外で発行した社債の利子について、企業側には所得税の源泉徴収義務がある。ただ一定の条件を満たし、必要な書類(利子受領者確認書)を日本の税務署長に出せば非課税となり、源泉徴収の必要もない。日本企業が海外で社債などを発行しやすくするための仕組みだ。

三井住友信託銀行の場合、この書類が期限までに提出されず、東京国税局は「非課税となる要件を満たさない」と判断。約18億円の課税処分に踏み切った。銀行側は反論し「書類提出は形式的な事務手続きにとどまる。重要性がない」などと裁判で争った。

だが東京高裁は「確認書の提出が非課税措置の適用のための手続き要件であることは明らか」と指摘。「書類の提出が困難であったと評価すべき事情はみうけられない」などとし、課税処分を認めた。5月、最高裁も銀行側の主張を退け、敗訴が確定した。」

サンリオの例は、タックスヘイブン対策税制に関するものですが、申告書に書類が添付していなかったために、裁判では、実態判断の議論をする前に負けてしまったそうです。

いずれも、裁判になったことで表に出てきた例であって、実際にはもっと多くあるのでしょう。

古い例として、消費税を期限内に納めたにもかかわらず、確定申告書の書類提出を忘れて、無申告加算税が課せられた関西電力を取り上げています。それはあまりにひどいということで、その後の税制改正で、適正に納税していて、一定の条件を満たせば、無申告加算税は課されないようになったとのことです。

記事の後半で取り上げているみずほ銀行の税務訴訟(高裁でみずほ勝訴)に関する解説記事(判決に批判的)。

みずほ銀高裁判決機に文理重視求める声(週刊T&Amaster)

この解説によると、日経のまとめのように「形式」か「実態」かではなく、租税回避かどうかという、実質的な判断の問題もあるようです。

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