会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

在宅勤務、監視の穴突く 詐欺容疑のソニー生命社員(日経より)

在宅勤務、監視の穴突く 詐欺容疑のソニー生命社員

「ソニー生命」の海外子会社名義の口座から巨額資金をだまし取った容疑で同社社員が逮捕された事件のやや詳しい記事。

32歳の容疑者(ソニー生命と海外子会社を兼務)は、日本でリモートワークをしていたようです。だまし取られた資金の行方もわかったいないようです。

「逮捕は11月29日。同課は××容疑者の認否を明らかにしていない。資金は全額米国の銀行口座に送金され、その後の行方は判明していないもようだ。同課は米連邦捜査局(FBI)と連携し、資金の行方や不正送金に及んだ動機などの解明を進める方針。

逮捕容疑は2021年5月中旬、ソニー生命の連結子会社で、英領バミューダ諸島に本社がある再保険事業の「SAリインシュアランス」名義の米銀行の口座から、同社の正規の取引を装い、資金約170億円を別の米銀行の口座に送金して、だまし取った疑い。

捜査関係者などによると、SA社は21年春に事業を終了し、同社社員を兼務していた××容疑者は9月末の清算に向けて金融資産の現金化などの業務を担当していた。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、在宅勤務が中心だったといい、自宅からインターネットを通じて上司から承認を得たように偽装した上で、米銀行に送金の指示を出していたという。

通常SA社では、一定額以上の送金前に取締役会の決議を経た上で米投資運用会社に送金手続きを委託していたという。××容疑者は発覚を免れる目的でこうした手続きを経ず、銀行に直接送金を指示していたとみられる。同社やソニー生命も在宅勤務中の××容疑者の行動を把握できていなかった。」

海外子会社といっても、タックスヘイブンに籍を置く清算手続き中のペーパーカンパニーでしょうから、事務はソニー生命の中でやっていたのでしょう。ソニー生命の内部統制でカバーすべき範囲なのでしょうが、形式上は別会社であること、容疑者がやっていたのが非定型的な業務であること、しかもリモートワークだったことなどにより、甘い点があったのでしょう。ただし、記事によれば、会社は捜査中であることを理由に、監視体制などの詳細についてはコメントを拒否しており、はっきりしたことはわかりません。

そのほか、不正が起きたのが5月なのに、開示が8月だったことや、11月29日に逮捕されていたのに、そのことが報道されたのが、12月1日だったことなど、不透明な点もあり、もっと深い事情があるのかもしれません。ソニー(最終的な親会社?)における開示や会計処理はどうなっていたのかも気になります(なぜか報道ではふれていない)。

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