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グッドウィル欺き380億円、買収仲介の会計士ら中抜き

グッドウィル欺き380億円、買収仲介の会計士ら中抜き : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

旧グッドウィル・グループによる人材派遣会社クリスタル買収に絡み、グッドウィルが支払った883億円のうち約380億円が取引を仲介したファンド運営会社らに流れていたという記事。

「GWGの開示資料によると、同社は2006年10月、業界大手の「クリスタル」を買収するため、別のファンドを通じて「コリンシアン投資事業有限責任組合弐号」(コリンシアンファンド)に883億円を出資、同ファンドがクリスタルの創業者から取得した同社株91%分のうち67%分を手にして子会社化した。」

「関係者によると、契約書に記されたファンドの組合員(出資者)はGWGのほかファンド運営会社「コリンシアンパートナーズ」、格闘技団体代表、投資事業会社の元代表の3者。

 パートナーズの社長だった公認会計士(51)はGWGに対し「ファンドへの出資額は1185億円で、GWGの出資比率は74%。残り302億円はほかの投資家が出資する」と説明したが、実際にはGWG以外の出資金はゼロだった。」

「会計士らは実際には発行済み株式の91%にあたる5万1825株を約500億円(1株96万円)で取得し、即日、GWGに対し、説明した架空の出資比率に基づいて3万8190株(1株231万円)を提供。ファンドに残った約380億円のうち約180億円と1万3635株(約131億円相当)をパートナーズが受け取り、約200億円を格闘技団体代表らが分け合った。」

実際にクリスタルの株式を創業者から取得したのは「コリンシアンファンド」で、そこにはグッドウィルが(別のファンド経由で)組合員(出資者)として加わっていた、本来であれば、実際の取得価額(1株96万円、総額約500億円)が組合員であるグッドウィルに報告されるはずですが、ファンド運営会社がウソの取得価額(1株231万円、総額1185億円)を報告していたわけです。また、グッドウィルはそのウソの取得価額に基づいてクリスタル買収の会計処理を行ったことになります。

記事によれば、グッドウィルはだまされた側(380億円+クリスタル株13635株は手数料としては大きすぎる)で同情されるべき立場ですが、会計処理として考えた場合、株式の取得価額に詐欺まがいの取引による水増し額が含まれているというのは、どう考えたらよいのでしょうか。

それにしてもとんでもない会計士がいたものです。ただし、読売の別の記事によれば、この会計士は取引で得た資金を上場会社への出資(記事によれば旧「千年の杜」や「ビービーネット」)やその他の投資に使って、そのほとんどが回収できていないとのことです。インサイダー取引をやりながら結局損失だった会計士もいましたが、会計士にギャンブルは向いていないのでしょう。
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