韓国造船大手の大宇造船海洋という会社の会計不祥事で、会計監査を担当したデロイト安進という会計事務所(会計法人)が行政処分を受けるという記事。まだ正式決定はしていませんが、「営業活動の停止」処分となるようです。
「デロイト安進は、大宇造船海洋のほか、移動通信大手のLGユープラス(LGU+)やカード大手の現代カードなど約1,400社の監査を担う4大会計法人の一角。前理事が大宇造船海洋の粉飾会計を助けた疑いで逮捕されており、法人全体の管理責任が問われている。
デロイト安進の広報担当者はNNAの取材に対し、「金融監督院は制裁措置の内容を議論するための監理委員会の開催を検討している」と説明した。制裁措置の内容は通常、開催10日前に当該監査法人にあらかじめ伝えられる。
業界では、制裁内容は営業活動の停止となる見方があり、「タイミングによっては事実上の解散命令」との声も聞かれる。営業停止になれば契約更新もできなくなるため、企業が外部監査人と契約を結ぶ時期である4月以前に正式決定した場合、顧客企業は他の会計法人、特に韓国の4大会計法人うち残り3社(三逸・サムジョン・韓英)に流れる可能性がある。
デロイト安進と監査契約を結んでいる日系企業は少なくない。親会社がデロイトトーマツコンサルティング(DTC、東京・千代田)と監査契約を結んでいる場合、連結業績を発表する上での監査上の混乱を避けるために、同じブランドを共有するデロイト安進に監査を依頼するケースが多いためだ。」
「親会社がデロイトトーマツコンサルティング(DTC、東京・千代田)と監査契約を結んでいる場合」という箇所は、監査法人トーマツのまちがいでしょう。トーマツの監査クライアントで韓国に重要な関係会社をもっているような会社がどれくらいあるかわかりませんが、何らかの対策が必要になるかもしれません。トーマツのクライアント以外でも、関係会社がこの会計法人と契約している場合は影響が生じます。韓国の監査業界全体が混乱するようだと、問題の会計法人以外に関係会社の監査を依頼している会社にも、影響が出てくるかもしれません。
記事を読む限りでは、日本の中央青山のケースと似た感じです。中央青山も、カネボウの粉飾に関連して法人構成員に逮捕者が出て、事実上の解散命令となった業務停止処分が課せられています(実際に解散となるまでには少し時間がありましたが)。
処分の影響を回避する方法も、日本の「あらた方式」と似たものを考えているようです。
「デロイト安進を退社した元社員が別の監査法人を立ち上げて、改めて「デロイトブランド」を使用する可能性もあるという。その場合、デロイト安進と監査契約を結んでいる日系企業の子会社は新しい監査法人と契約を結び直す可能性が高いため、「業界に大きな変動はない」との見通しもある。」
このニュース記事が、大宇造船海洋の粉飾やデロイトの関係者の起訴・逮捕などについて、簡潔にまとまっているようです。
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Deloitte Anjin may face closure
2015年に計上した2兆ウオンの損失が、2013年と2014年に計上すべきものだったようです。
Anjin audited DSME’s balance sheets starting in 2010. Until 2014, the accounting firm said the shipbuilder’s financial situation was optimal.
However, in March, the accounting firm said the 2 trillion won ($1.7 billion) of operating losses on some 5.5 trillion won revenue in 2015 should be included in the company’s 2013 and 2014 balance sheets. The shipbuilder’s operating profit reached 424.2 billion won in 2013 and 454.3 billion won in 2014. However, the figures turned out to be an operating loss of 789.8 billion won in 2013 and 754.6 billion won in 2014.
DSME’s manipulation of its balance sheet is now causing problems for Anjin and its accountants. A former Anjin accountant was prosecuted and detained in December and three more employees have also been prosecuted. The corporation itself also was indicted for not managing its employees well. The ruling on the corporation is expected in May.
The key point of the case is whether Anjin was involved in DSME’s manipulation as a whole corporation. Anjin denies the charge.
Deloitte Anjin indicted over false reports on Daewoo Shipbuilding
韓国のデロイトのサイト。
https://www2.deloitte.com/kr/en.html
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