国税庁「副業300万円以下の損益通算ダメ」は「ヤバい節税」潰しが狙い? パブコメ1000件超す
先日の日経(紙では29日)と似た内容ですが、雑所得の範囲に関する所得税法基本通達の改正案を取り上げた記事。
国税庁担当者や学者にも聞いています。
国税庁担当者の見解は...
「国税庁は今回の通知をどういう意図で出したのだろうか。通知には「副業に係る所得について適正申告をしてもらう環境づくりに努めているところ、所得区分の判定が難しいといった課題があった」と書かれている。これだけではよく分からないので、国税庁の担当者に聞いてみた。
「国税庁は副業をしている個人がどんな活動をしているかを総合的に勘案して、事業所得か雑所得にあたるのかを考えています。今回もこの考え方を変えたわけではなく『雑所得は雑所得』ということを明確にしただけです」。国税庁個人課税課の担当者はこう説明する。日本は申告納税制度なので、納税者が自分の副業は事業所得なのか、雑所得にあたるかを考えて税額を確定させて申告する。
なぜ300万円で線引きしたのだろうか。2020年の税制改正で、雑所得となる収入金額が300万円を超える場合は請求書や領収書などの「現金預金取引等関係書類」の保存が義務化された。今回の改正案は税制改正のこのラインに習ったという。
改正案を出したのはやはり「損益通算の赤字申告」が多いからなのだろうか。担当者に聞いたところ「今回のこの通達をもって積極的に(損益通算の赤字申告を)潰してやろうとかそんなことは考えていませんが、(損益通算に)頭を痛めていませんとまでは言えません・・」という返事だった。やはり損益通算の赤字申告は一定数あるようだ。」
改正案にあるように、反証があれば、300万円にとどかなくても、事業所得にできる場合もあるとのことです。
「国税庁が募集しているパブコメには、8月半ば時点で1000件超の意見が寄せられており「どうしても300万円に届かない場合」の質問や意見も寄せられているという。担当者は「いずれ独立を考えている人が副業を始めたばかりの時など300万円に届かないケースがあることは想定しています。これは改正案の中にある『反証』にあたると考えます」と話す。」
租税法の有名な学者である三木義一氏にも聞いています。
「前・青山学院大学長で租税法の第一人者の三木義一氏は、今回の通達改正案について「形式的に雑所得として取り扱う範囲を明らかにしつつ、総合判断で事業になる余地も認めたもの」と解説する。...
三木氏によると、会社員が意図的に副業を行い、収入より経費を多くして赤字にする。そうして副業の赤字を給与所得と損益通算する。こうすることで数十年間で数百万円も「節税」できたノウハウを共有する本があったという。
三木氏は「税金を減らすために、わざわざ仕事をして経費を収入以上に生じさせて数十万円もの赤字にするぐらいなら、副業せずにアフター5はお茶でも飲んでいたほうが良かったのではないでしょうか」とした上で「それでも儲かったと思うというのは、経費として計上したお金が実は家事費と言えるからかもしれません」と指摘する。...
「これは『節税』ではなく『脱税』になってしまいます」(三木氏)。」