与党税制改正大綱における法人税改革の内容を解説した一般向け記事。
外形標準課税強化により「中堅・大企業では業績が好調な黒字企業ほど減税のメリットを受ける仕組み」だといっています。
「法人事業税には、企業のもうけ(所得)に課税する部分と、従業員の給与やオフィスの賃料など事業規模に応じて課税する「外形標準課税」(資本金1億円超の約2万3000社が対象)がある。外形標準課税は赤字企業も課税対象で、15、16年度で現行の2倍に拡充する方針。拡充で得た財源を活用し、もうけにかかる税率を引き下げる。
財務省が13年度の納税額を基に試算したところ、大企業(資本金10億円超)のうち、赤字企業(1583社)の場合、1社平均で5500万円の増税となる。これに対し、黒字企業(4285社)は1社平均で1900万円の減税になる。外形標準課税は増税になるが、もうけにかかる税金が減り、差し引きで負担減になるためだ。」
記事の表が比較的わかりやすいと思います。表の左側が、法人事業税の影響を示しています。黒字の場合は平均の減税額なので、ゼロに近い黒字の場合は増税、規模に比べて大きな黒字の場合はさらに大きな減税となるのでしょう。
いずれにしても、外形標準課税強化というのは、確固たるポリシーや理論があってやっていることではなく、単に、地方税の枠内で、見かけの税率を下げるためのやりくりをしているだけのようにも思われます。所得への課税が減税されるとはいえ、業績が悪いときでも、しっかり税金を取られるというのは、有難迷惑かもしれません。
(毎日新聞より)
外形標準課税の拡大は「毒まんじゅう」!?
法人税減税の焦点をどう評価するか(ダイヤモンド・オンライン)
「基本的な認識としては、外形標準課税は問題の多い税であるということである。同じ付加価値を課税ベースとする税に消費税があるが、消費税であればできるはずの国境調整(消費税は仕向け地で課税されるので、輸出時には還付される)ができない、価格転嫁も消費税のようにはできないという大きな問題がある。
このような欠陥をもつ税を、応益税だからという一言で、「恒久的」な地方税制として位置付けることには問題が多い。」
法人税減税、実をとった財務省と総務省(東洋経済)
「・・・外形標準課税の適用拡大は総務省がいわば「悲願」としていることであり、これを実行すれば地方の法人事業税(所得割)の税率を下げることで国と地方を合わせた法人実効税率が下げられるので、国の法人税率をそれだけ下げずに済むという財務省の思惑もある。外形標準課税の適用拡大は総務省と財務省はともに認めていたと言ってよい。両省は、課税ベース拡大のところで実をとった。」
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