会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

自公 来年度の税制改正大綱を決定(NHKより)

自公 来年度の税制改正大綱を決定

自民・公明両党が、来年度の税制改正大綱を正式に決定したという記事。

「大綱では、焦点となっていた法人税の実効税率の引き下げは、「経済の好循環の実現を力強く後押しするため、税率の引き下げを先行させる」として、初年度となる来年度、2.51%としたうえで、再来年度は来年度分と合わせて3.29%以上の引き下げを目指すとしています。

また、企業に賃上げを促すため、来年度の賃金を平成24年度よりも3%以上引き上げた場合、赤字でも事業規模に応じて課税する法人事業税の「外形標準課税」を賃上げ分、非課税とします。」

「「地方創生」関連では、東京23区に本社がある企業が、東京や中部・近畿の都市部を除く地域に本社機能を移転させた場合、建物の取得費用などのうち7%分を法人税額から差し引くなどとしています。」

「インターネットを通じて、音楽や電子書籍などを販売する海外企業にも、国内の企業と同様に、来年10月から消費税の納税を義務付けます。」

NHKは御用メディアなのか、法人税率引き下げの財源についてはふれずに、外形標準課税の緩和措置にのみふれていますが、もちろん、伝えられているように、財源として、外形標準課税の強化が行われます。

法人減税、2年で3.29% 税制改正大綱が30日決定(朝日)

「法人実効税率は現在、34・62%(標準税率)。税率の引き下げで税収が減る分は、赤字の企業でも事業規模などに応じてかかる「外形標準課税」を強化するなどして、段階的に穴埋めする。外形標準課税は税率を15年度は1・5倍、16年度は2倍にするが、来年度からの2年は減税が増税を上回る「先行減税」となる。」

大綱の原文はこちら

平成27年度 税制改正大綱(自民党)

法人税の改正に関しては、「より広く負担を分かち合い、「稼ぐ力」のある企業や企業所得の計上に前向きな企業の税負担を軽減することで、企業の収益力の改善に向けた投資や新たな技術開発等への挑戦がより積極的になり、それが成長につながっていくように、法人課税の構造改革を行うもの」だそうです。

「企業所得の計上に前向きな企業」などというものがあるのでしょうか。ほとんどの企業は、課税標準である「企業所得」ではなく、税金を差し引いたあとの純利益の計上に前向きなのでは。また、「稼ぐ力」のない企業からすれば、税金は「稼ぐ力」のある企業が多く払うべき(負担は稼ぎの分しか分かち合いたくない)ということになるでしょう。

基本的な考え方のうち、「成長志向に重点を置いた法人税改革」は2~4ページに記載されています。

来年度の引き下げ財源については・・・

「平成27 年度税制改正において、欠損金繰越控除の見直し、受取配当等益金不算入の見直し、法人事業税の外形標準課税の拡大、租税特別措置の見直しを行う。」

マイナーな項目として減価償却や法人事業税の損金不算入化が取り上げられていますが、検討課題ということのようです。

「減価償却については、中小事業者等における設備投資への影響に留意しつつ、経済の好循環の定着状況等を見極めながら、定額法への一本化について、検討を行う。」

法人事業税の損金不算入化について、税の性格上は損金算入が自然であるとの考え方もある一方、地方独自の減税措置の効果が国税等の課税ベースの変動により減殺されてしまうことや、各税目の税負担が納税者にとって不明確となることを考慮しつつ、検討を行う。」

国際課税に関しては・・・

「国内外の事業者間の競争条件の公平性を確保する観点から、国外事業者が国境を越えて行う電子商取引を消費税の課税対象とする。」

「国際的な二重非課税を防止する観点から、外国子会社の所在地国において損金に算入される配当を外国子会社配当益金不算入制度の適用対象から除外する。」

「国境を越えた人の動きに係る租税回避を防止する観点から、出国時における株式等に係る未実現のキャピタルゲインに対する譲渡所得課税の特例を創設する。」

「外国子会社配当益金不算入制度」は、制度自体廃止すべきでは。こんな優遇制度を継続しているのは、日本だけのようです。

法人税:先行減税3000億円規模 代替財源確保が課題(毎日)

「税率下げの代替財源として、赤字法人にも課税する地方税の「外形標準課税」を2年で2倍に拡充。企業が過去の赤字(欠損金)と黒字を相殺(控除)し、税負担を減らせる「欠損金繰越控除制度」は縮小する。現在は課税対象となる黒字の80%まで控除できるが、15年度で65%、17年度で50%に縮小。ただ、繰り越せる期間は現在の9年から10年に延長する。」

「政府が29日、与党に示した税制改正案には、外形標準課税について「適用対象法人のあり方について引き続き検討する」との一文が盛り込まれた。現在は課税対象外となっている資本金1億円以下の中小企業への適用拡大を念頭に置いた。税調幹部は「第2段階では財源確保のため中小企業に手を付けざるを得ない」と漏らすが、29日の自民党会合で「大反対」との声が相次いだ。適用拡大では、調整の難航が予想される。」

税制改正:大綱の要旨(毎日)
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