会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

トーマツ「空騒ぎ」で監査人降板(Yahooより)

トーマツ「空騒ぎ」で監査人降板(FACTA配信)

東証マザーズ上場のフィットの決算が、監査法人の指摘でもめた件を取り上げた記事。

「建売住宅や太陽光発電システムなどを手がける同社は3月11日に上場したばかり。2009年に徳島県で創業して四国を中心に事業を展開、7年で上場にこぎ着けた。過去5期のうちに売上高は4倍余りに拡大し、16年3月期には70億円台となった。利益率も大きく改善し、営業利益率は14%に達しているから、まずまず好採算企業といえる。

ところが、会計監査を受け持つ大手監査法人トーマツが突如「(太陽光発電などの)エナジー事業の平成28年4月以降に計上すべき売上取引の一部が、平成28年3月に計上されている可能性がある」と指摘した。決算を発表して有価証券報告書を作成し株主総会も開かなくてはならない時期に、監査証明にハンコをつかないと言い出したのだ。」

「6月25日に公表された調査報告書には「平成28年3月期において受領書の日付と実際の受領書作成日が大幅に乖離していた取引等が相当数発生していた」「原因は、売上計上にかかる業務体制上の問題点、内部管理体制の不十分さ及び役職員の会計処理に関するコンプライアンス意識の欠如にあった」などの問題点が指摘されている。

その結果、7月29日に発表した決算では、当初は85億円を見込んでいた売上高が計画に届かず74億円で着地した。営業利益は12億円の見込みが11億円と修正幅は小さく「赤字決算を黒字に見せかけた」といった東芝的な悪質性は感じられない。」

記事では監査法人が「アツモノに懲りてナマスを吹いたのか」といって、過剰反応したようにいっていますが、売上の期ずれの問題なので、発見が決算日後になるのはしかたがない(したがって当然「決算を発表して有価証券報告書を作成し株主総会も開かなくてはならない時期」にぶつかる)でしょうし、売上が70億円ぐらいの会社で、10億円近い売上の影響額であれば、見逃すわけにはいかないでしょう。

記事の中の証券関係者のコメントのように「現場の会計士とトーマツの品質管理部門、上層部の間で情報の共有や擦り合わせが不十分」であったとしたら、監査法人に責任がないわけではないとは思いますが、指摘自体は「空騒ぎ」というレッテルで片付けられるようなものではありません。

第三者調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ(PDFファイル)

工事注文書や物件を引き渡すときの受領書の日付が、かなりいい加減だったようです。

「第8期(平成 28 年3月期)において、受領書の日付と実際の受領書作成日が大幅に乖離していた取引等が相当数発生していたため、当社がエナジー事業について受領書の日付をもって売上計上する会計処理は適正性を欠くと判断され、第三者調査委員会として合理性が認められると判断した系統連系日をもって売上計上日とするほかないとされた。」

また、監査法人による確認でも異常が見つかったようです。

「pa 氏は、平成 28 年 4 月末頃、トーマツから残高確認書の郵送を受け、各物件を同年 3 月末に約 108,000,000 円で購入したことの確認を求められた。

これに対して、pa 氏は、トーマツに対し、同年 4 月中旬に購入意思を表明したが、同年 3 月 31 日現在物件を購入していないこと及び同年 5月 6 日現在においても物件を購入していないことを回答した。」(調査報告書41ページ)

これは問題にしないわけにはいかないでしょう。

(補足)

FACTAのサイトでも無料公開されていました。

トーマツ「空騒ぎ」で監査人降板(FACTA)
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