令和に入って3社目の上場企業倒産 東大発バイオベンチャー「テラ」が破産(帝国データバンク配信)
東証スタンダード上場のテラが、東京地裁より破産手続き開始決定を受けたという記事。
いいときもありました。
「当社は、2004年(平成16年)6月に設立。東大医科学研究所の持つ技術・ノウハウの権利を独占し、がん免疫細胞療法であるがん樹状細胞ワクチン療法(以下がんDC療法)、アイマックスがん治療のノウハウを提供していた。がんDC療法はがんに特異的な免疫反応を起こすことができ、外科療法、放射線療法、化学療法に次ぐ第4の療法として注目されており、がんDC療法専門クリニックなど全国30内外の医療機関を得意先に営業を展開。2009年3月にジャスダック市場へ上場、2012年12月期には年収入高約15億4400万円(連結)を計上していた。」
その後、売上が落ち込み(2020年12月期約7600万円)、継続企業の前提に関する注記も行っていました。
法令違反もあり、開示の面でも、有価証券報告書における重要事項の不記載問題で課徴金を課せられたり、新型コロナ治療薬をめぐる虚偽適時開示問題を起こしたりと、いろいろあったそうです。
破産手続開始の申立て及び破産手続開始決定に関するお知らせ(2022 年 8 月 5 日)(テラ)(PDFファイル)
「当社は、2021 年 10 月 14 日に当社株式について特設注意市場銘柄の指定を受け、内部管理体制を適切に改善し当社株主及び投資者の信頼を回復していくことが急務となったころから、2022 年 3 月 29 日までに取締役を社外の者に一新し、内部管理体制の強化を図るとともに事業の立て直しを図って参りました。
しかし、先行投資型バイオベンチャーという当社事業の性質上、医薬品の開発に成功するまでは継続的な売上げがほとんどなく、2022 年 3 月には当社の流動資産は枯渇しつつありました。
そこで当社は、第三者割当増資による資金調達を試みましたが、増資を実施する条件が整わないまま2022 年 6 月末には当面の資金繰りにも窮するようになりました。
その後、当社は、金融機関につなぎ融資を相談するとともに、事業継続の方法や破産手続以外の選択肢についても最後まで検討を重ねました。しかしながら、金融機関から融資を受けることはできず、資金が枯渇し、資金調達の見込みもない状況では他に取り得る選択肢もなく、また状況が改善する見通しも立たないことから、今般やむなく破産手続の開始を申し立てるに至りました。 」
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バイオベンチャー テラ(株)(東京商工リサーチ)
「継続企業の前提に関する注記が続くなど、信用回復が遅れる一方で、「新型コロナウイルス」の重症患者の治療状況などについてメキシコのイダルゴ州で行った会見が話題となり、2020年6月には株価が2000円を超え、急騰した。
運転資金や研究開発費を調達するため、2020年10月には第三者割当増資を発表。しかし、払い込み期日の変更など資金調達が思うように進まず、同年12月15日の調達日に払い込み予定金額の約25億円のうち、約100万円のみ着金するなどトラブルとなり、経営が混乱していた。」