★ござ敷いてその上に花影を置く 信之
平成二年の作だが、この年の夏には、家族でドイツを訪問することになっていた。その春に、愛媛大学のドイツ語教室の先生方と、わが家の裏手の桜の下で花見の宴を開いたときの作で、桜の下に茣蓙を敷いた。敷いたばかりの茣蓙には、満開の桜の影が映ったというのである。このときは、子どもたちも嬉しくて、到着の遅れたライネルト先生を迎えるのに息子は、自転車で家の周りをぐるぐる廻ったり、一年生であった娘も「ごちそうにさくらの花びらふってくる」の句を作り大変喜んだ。急逝された土屋明人先生が、博多の明太子と「緑川」というお酒を持ってこられたりと、思い出深い花見であった。今、その花影は、いんいんとして作者の胸にあることであろう。(高橋正子)
○今日の俳句
蒲公英の数本は吾が影へあり/祝恵子
私の好きな句である。控え目であって、優しく、観察の眼に深いところがあるのは、恵子さんらしい。(高橋信之)
◇生活する花たち「桜・馬酔木・曙つつじ」(横浜日吉・鯛ヶ崎公園)
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平成二年の作だが、この年の夏には、家族でドイツを訪問することになっていた。その春に、愛媛大学のドイツ語教室の先生方と、わが家の裏手の桜の下で花見の宴を開いたときの作で、桜の下に茣蓙を敷いた。敷いたばかりの茣蓙には、満開の桜の影が映ったというのである。このときは、子どもたちも嬉しくて、到着の遅れたライネルト先生を迎えるのに息子は、自転車で家の周りをぐるぐる廻ったり、一年生であった娘も「ごちそうにさくらの花びらふってくる」の句を作り大変喜んだ。急逝された土屋明人先生が、博多の明太子と「緑川」というお酒を持ってこられたりと、思い出深い花見であった。今、その花影は、いんいんとして作者の胸にあることであろう。(高橋正子)
○今日の俳句
蒲公英の数本は吾が影へあり/祝恵子
私の好きな句である。控え目であって、優しく、観察の眼に深いところがあるのは、恵子さんらしい。(高橋信之)
◇生活する花たち「桜・馬酔木・曙つつじ」(横浜日吉・鯛ヶ崎公園)
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