いつだって明日はいい日

現実 ③ 散歩道

ずっと晴れの日が続いていた。
お母さん晴れ女だったんだね。
通常なら三日目の今日が葬儀になるが一日延びたので少し余裕が出来た。

慌ただしくて家の仏様が疎かになっていた、申し訳ない。
お墓は家からゆっくり歩いて30分程、運動不足なので散歩を兼ねて歩いて行く。

久しぶりに歩く近隣の家並み。
荒れ果てた家、建て替えた家、空地には建設予定の看板が立つ。
やっぱ浦島太郎だな…。
昔は犬の散歩で歩いた道もすっかり通ることはなくなっていた。

近くで唯一の未舗装の道。
田んぼの畦の草が伸びきって覆い被さってくる。
ソーラーパネルに変わった田んぼもある。
ここも数年後には住宅になってしまうのかな、寂しいね。
線路が緩くカーブしてるこの辺りは電車の写真を撮るにいいポイントらしく撮り鉄さんたちが三脚を立てているのをよく見かけたものだ。

サイクリングロードに出ると畑の間にソーラーパネルに変わった箇所があった、気分は複雑…。

墓参の後、住職婦人に挨拶に行く。
告別式のこと、その後のこと、その他いろいろ、教えて頂く。


帰宅してご近所さんに挨拶、家族葬の旨を伝える。


式場へ行き最終確認。
帰宅して荷物を持って式場へ戻る。
この三日間で何往復したことか、近くて良かった。

母と過ごす最後の夜は姉と二人で泊まる。
「もう呼び出される心配ないもんね、飲んじゃう?」
近くのスーパーで夕食を買ってきて久しぶりにアルコールを飲む。
テレビで『鬼滅の刃』を放送していた。
酔っ払った頃に電話が鳴る、上司と同僚が家まで来たが留守なので何処へ行ったらいいかとのこと。
おいおい、今どき自宅でなんかやらないでしょ…来るなら電話してから来いよ…
酔っ払っていられない、迎えに出る。

突然の弔問客が帰り再び静かな夜。
明日はいよいよ告別式、眠ったような眠れないような夜だった。



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