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角田じいじの奮闘記

「心身共に元気で過ごす」を目標に趣味の一つである写真と日記を綴ってみたいと思います。

角田〝桜〟おらほの見どころ-5

2013-02-24 19:56:51 | 桜の見どころ

 諏訪神社 ー4  太田健次郎様著

第三話  善蔵の先見の明

 善蔵が宮大工職人として、棟梁について或る神社造営に従っていた頃の事である。

 作業も進み、間もなく上棟式が目前に迫った或る日のことである。善蔵が余りにも技量が優れ、職人仲間にこばまれていたので、職人たちはこの際善蔵に嫌がらせをし、困らせてやろうと鳩首協議した。善蔵が作業分担で仕事を手掛けていた建物の丸柱に目をつけた。この丸柱を短く切っておこうと協議し、一決し丸柱を少し切り離して、素知らぬ顔をしていた。

 次の日上棟式の日となり、建前も順調に進み、其の丸柱を建てる事となった。悪い職人達はどうするかと思いながら何食わぬ顔して作業を続け、其の丸柱を墨付け場所に建ててみると確かに短く切った筈の柱が、短くも長くもなく一分一厘の違いもなく納まった。

 これに居合わせた悪い職人達はあ然として言葉もなかったという。こんな風にして上棟式は無事終わったのであった。この事は、前もって大工達の毎日の作業中の雰囲気で感じとり、切られる分だけ長くし、それらに備え、対処していたのではなかったかと言われている。


角田〝桜〟おらほの見どころ-4

2013-02-21 20:56:01 | 桜の見どころ

 諏訪神社 ー3  太田健次郎様著

第二話  善蔵の栓作り

 善蔵まだ修行中の頃、棟梁につき、ある所で建築の工事にあたっている祭、棟梁より「善蔵、山に行ってを300程作って来い」と申し渡された。

 いいつかってから5日過ぎても姿を見せず、8日過ぎても何の便りもない。10日過ぎても音沙汰がないので、どうしたものかと棟梁は、善蔵が仕事をいている山に行って見た。善蔵は仕事をしているものの、棟梁の言い渡した建築用の栓は一本も無く、あるのは普通の杉の4寸か5寸の角材3本だけだった。

 棟梁は「どうしたんだ、角材は別の職人にさせてある、お前にはを作れと頼んだ筈なのに」と問い詰めても、善蔵は棟梁の話しには答えようともせず、作った角材をみているだけ。棟梁は腹を立て、目の前に揃えてある角材を蹴飛ばしてしまった。ところがあら不思議、その角材はバラバラになり、棟梁が善蔵に10日前に仕事を言いつけた建築用の栓に早変わりしたので棟梁もその技術に只々驚きいったという。

 (注)とは、木工建築を強固にする為に使う頭一寸角、先細りの、5寸~6寸程の長さの木片の事。