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2017年のアカデミー賞の作品賞、監督賞、主演男優賞にノミネートされている秀作。
すでに、主演のケーシー・アフレックは、ゴッサム・インディペンデント映画賞、ニューヨーク映画批評家協会賞、ボストン映画批評家協会賞、全米映画批評家協会賞、ゴールデン・グローブ賞を主演男優賞を受賞し、共演のミシェル・ウィリアムズもニューヨーク映画批評家協会賞、全米映画批評家協会賞とゴールデン・グローブ賞で助演女優賞を取っている。
おそらく、ケーシー・アフレックはアカデミー賞でも主演男優賞を取るだろう。
彼は、ベン・アフレックの弟という事以外、あまりパッとしないキャリアの上に、自ら監督、脚本をし、撮影、制作まで一人で仕切った作品「容疑者、ホアキン・フェニックス」が大コケしたのと、多くの関係者の怒りを買ってしまい、ここ4-5年は以前にもまして露出度が下がっていた。
兄の親友、マット・デイモンの助けもあって、今回の役が回って来たのだろうが、それにしてもいい演技をしていた。
2013年の「ファーナス/訣別の朝」での主人公のダメ弟、2014年の「インターステラー」でのパッとしない主人公の長男役もそこそこ印象に残る演技だったが、この作品での、彼の過去の罪に縛られた憂いのある演技は最高だった。
そして、共演のミシェル・ウィリアムズが、彼との再会で見せた、彼を心から思う涙のシーンもよかった。
リー・チャンドラーは、ボストンの古いアパートの便利屋として生計をたて。毎日、アパートの管理と施設の修繕、住人の苦情に追われていた。
彼は、無口で、他人との関係を一切避けて、仕事を黙々とこなす男だったが、その反面、短気で住人と衝突したり、バーでは喧嘩沙汰も起こしていた。
ある日、故郷で漁師をいている兄のジョーの友人から電話があり、ジョーの危篤を知る。
彼が大急ぎで故郷にある病院に着いた時にはすでに兄は心臓発作で亡くなっていた。
心臓に持病のあった兄は、息子のパトリックの後見人に、別れたアル中の妻ではなく、弟のリーを指名していた事を告げられる。
以前はよく面倒を見た甥っ子だったが、何年も会っていない思春期の彼を育てる自信のないリーは、思い悩む。
また、リーは過去に大きな罪を犯し、妻とも別れ、故郷を離れ、孤独の中で償い切れないその罪を一生背負っていく生き方を選び、ボストンでひっそりと暮らしていた。
それが、今また過去の自分と、自分の罪と、いやでも向き合わなければならない事に戸惑っていた。
そして、兄の葬儀で妻だったランディとも再会する。
物語は、故郷で暮らしていた頃の明るいリーと、現在の自分の殻にこもって誰にも心を開こうとしないリーの姿が交互に出てくる。
その中で、父親を失った甥と、最初はギクシャクした関係から、次第に少しずつだがお互いを理解していく物語が進行する。
そして、終盤で彼がどんな罪を犯したのかが、明らかになる。 その事件はリーの絶望の始まりだった。
ストーリーとは裏腹に、風景映像がとっても綺麗で、寒々とした海や、漁師町が色鮮やかに撮られてる。
最後は、ちょっとだけ希望の余韻を残しながらエンドロールがはじまる。
役者たちの演技、脚本、映像と、間違いなく2016年のトップに入る作品だった。
96%
マンチェスター・バイ・ザ・シーは静かな港町
アパートの便利屋のリー
兄のジョーが危篤に
結局、ジョーの最後には立ち合えず
甥っ子のパトリックとジョーの友人に船の調子を聞く
幸せだったころのリーとランディ
ジョーの葬儀でランディと再会
ランディは今でも心からリーを愛している
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