い鉄、小谷松～大多喜

　冬に続いてこの春も１８きっぷを買ってしまった。大雪で断念した大糸線に、息子とリベンジするため。残る３日分の１枚目は、冬と同じく房総へ。と言いつつ、久留里線も小湊・いすみも前に乗ってからまだそれほど経ってなくて、どっちにしようか逡巡した挙句、折しも桜と菜の花の旬なのでいすみ鉄道というベタなチョイスとなった。
　雨続きなのに、お昼前の大原駅は結構な人出。切符を買おうとして係員に行き先を尋ねられ、どこかわからないけど往復！、これに乗りに来たのよウヒヒヒヒヒと豪快に照れ笑いをするおばちゃんとか、外房はがいぼうと読むのかとか言ってる兄ちゃんとか。いすみ鉄道の観光客誘致は本当に成功していると思う。前に乗りに来た時も、なまじシートに腰を下ろしてしまったせいで、立ってるお客さんの腹ばかり見る羽目になったのを思い出した。
　今回はしっかり運転席横の窓にかぶりつき。小一時間、窓外にカメラを向けて踏ん張っていたらすっかり膝が疲れてしまい、乗客の多さにも辟易として、この日２往復する予定は早々に却下。戻りの便を小谷松駅で降りた。
　ホームの待合小屋で、買ってきた駅弁を開いて花見の昼食。静か…。黒板に電車の絵がびっしり描いてあるが、下ネタゼロなのはかえって不健全に思える。そういう落書きをするような若者は、ここでは乗り降りしないのかも。乗ってきた電車も、土曜日とはいえあんなに満員なのに、地元客はジャージ姿の中学生２名だけに見えた。
　腹がくちくなったところで、次の大多喜駅まで2.9kmをのんびり歩き出す。小雨が続いていて、春爛漫の浮かれた散歩という風にはいかない。それでも雨に濡れた田畑や城下町の景色は十分に写真的で、見飽きることはなかった。