3月初め、ついに長良川鉄道に乗った。
沿線のスキー場には学生時代に何度も行ったし、サイクリングで郡上八幡には一度ならず泊まったことがあるしで、新鮮味を感じなくなってしまっていたからなのだろう、70km超、片道2時間ほどの行き止まり線に、なかなか気が向かなかった。長良川鉄道はもと越美南線。最後の方は半ば嫌気がさしていたJR線完乗の、最後の線区が越美北線で、その片割れの線区だというのも作用したかもしれない。とはいえ「ついに」乗った。乗ってみたら実に写真的だった。
途中下車して散歩した美濃市は、見事なうだつの町並み。旅籠や木造三階建ての宿を目当てに秋冬のサイクリングに出かけていた時分にいつかはと思っていた岡専旅館が、ふいに目前に現れて驚いた。旧名鉄美濃町線美濃駅の保存駅舎は改修中で入れなかったが、車両を柵の外から眺めることができた。
郡上八幡の駅舎は、改札前に寒さ除けの引き戸がつけられた以外は、20年近く前に来た時と変わらぬ風情。宿での夕食後に駅まで散歩したらちょうど改札前に列車が停まっていて、カメラを向けると坊主刈りの高校生らが窓ごしにおどけてくれたのを思い出して、懐かしさがこみあげた。文化財の木造跨線橋には今回初めて上がってみた。
街中を1時間ほど歩いてみたが、観光地然とピカピカに整備し尽くされてなくて、暮らしの様子が見えるたたずまいが実にいい。アップした写真は、地元の人も、これを見た人も、なんでこんな所を?と思われるような景色かもしれないが、歩いていてしみじみ見惚れてしまったもの。いつまでもこの景色を残して、などと無責任なよそ者発言はすまい。ほうっておいても、この町ならこの味わいのまま更新されていくような気がする(という淡い期待が無責任そのものだが)。
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