イエス・キリストが十字架につけられる,
最後の週(水,木,金曜日)の出来事。
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(水曜日)
ナルドの香油
(マタイ26:7)
「ひとりの女が
たいへん高価な香油の入った
石膏のつぼを持ってみもとに来て,
食卓に着いておられた
イエスの頭に香油を注いだ。」
(マタイ26:7-13)
「さて,イエスがベタニヤで,
ツァラアトに冒された人
シモンの家におられると,
ひとりの女がたいへん高価な香油の入った
石膏のつぼを持ってみもとに来て,
食卓に着いておられた
イエスの頭に香油を注いだ。
弟子たちはこれを見て,
憤慨して言った。
『何のために,
こんなむだなことをするのか。
この香油なら,高く売れて,
貧しい人たちに施しができたのに。』
するとイエスはこれを知って,
彼らに言われた。
『なぜ,この女を困らせるのです。
わたしに対して
りっぱなことをしてくれたのです。
貧しい人たちは,
いつもあなたがたといっしょにいます。
しかし,わたしは,
いつもあなたがたといっしょに
いるわけではありません。
この女が,
この香油をわたしのからだに注いだのは,
わたしの埋葬の用意をしてくれたのです。
まことに,あなたがたに告げます。
世界中のどこででも,
この福音が宣べ伝えられる所なら,
この人のした事も語られて,
この人の記念となるでしょう。』」
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ユダ,裏切りを企てる
(マタイ26:14-15)
「そのとき,
十二弟子のひとりで,
イスカリオテ・ユダという者が,
祭司長たちのところへ行って,
こう言った。
『彼をあなたがたに売るとしたら,
いったいいくらくれますか。』
すると,彼らは銀貨三十枚を彼に支払った。
そのときから,
彼はイエスを
引き渡す機会をねらっていた。」
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(木曜日 夕方)
最初の聖さん式
(マタイ26:26-28)
「また,彼らが食事をしているとき,
イエスはパンを取り,祝福して後,
これを裂き,弟子たちに与えて言われた。
『取って食べなさい。
これはわたしのからだです。』
また杯を取り,感謝をささげて後,
こう言って彼らにお与えになった。
『みな,この杯から飲みなさい。
これは,わたしの契約の血です。
罪を赦すために
多くの人のために流されるものです。』」
過越しの祭りは,
イスラエルのエジプトからの
救出を指し示し,
将来イエス・キリストが
恵みの内に来られることを指し示しました。
聖さん式は,過去のイエスの死を指し示し,
将来の栄光のうちに来られる
イエス・キリストを指し示しています。
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(木曜日 夜)
ゲッセマネでの祈り
(マタイ26:39)
「イエスは少し進んで行って,
ひれ伏して祈って言われた。
『わが父よ。できますならば,
この杯をわたしから過ぎ去らせてください。
しかし,わたしの願うようにではなく,
あなたのみこころのように,
なさってください。』」
☆彡
(マタイ26:36-46)
それからイエスは弟子たちといっしょに
ゲツセマネという所に来て,
彼らに言われた。
「わたしがあそこに行って祈っている間,
ここにすわっていなさい。」
それから,
ペテロとゼベダイの子ふたりとを
いっしょに連れて行かれたが,
イエスは悲しみもだえ始められた。
そのとき,イエスは彼らに言われた。
「わたしは悲しみのあまり死ぬほどです。
ここを離れないで,
わたしといっしょに
目をさましていなさい。」
それから,イエスは少し進んで行って,
ひれ伏して祈って言われた。
「わが父よ。できますならば,
この杯をわたしから過ぎ去らせてください。
しかし,わたしの願うようにではなく,
あなたのみこころのように,
なさってください。」
それから,
イエスは弟子たちのところに戻って来て,
彼らの眠っているのを見つけ,
ペテロに言われた。
「あなたがたは,そんなに,一時間でも,
わたしといっしょに
目をさましていることができなかったのか。
誘惑に陥らないように,
目をさまして,祈っていなさい。
心は燃えていても,肉体は弱いのです。」
イエスは二度目に離れて行き,
祈って言われた。
「わが父よ。
どうしても飲まずには
済まされぬ杯でしたら,
どうぞみこころのとおりを
なさってください。」
イエスが戻って来て,
ご覧になると,
彼らはまたも眠っていた。
目をあけていることが
できなかったのである。
イエスは,またも彼らを置いて行かれ,
もう一度同じことを
くり返して三度目の祈りをされた。
それから,
イエスは弟子たちのところに来て言われた。
「まだ眠って休んでいるのですか。
見なさい。時が来ました。
人の子は罪人たちの手に渡されるのです。
立ちなさい。さあ,行くのです。
見なさい。
わたしを裏切る者が近づきました。」
ゲッセマネの祈りは
イエスが十字架を前にして祈りました。
苦しみに立ち向かい,超える祈りでした。
御心のとおりをという祈りになります。
イエスご自身が十字架に架かり,
乗り越える祈りです。
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(金曜日)
イエス,逮捕される
(マタイ26:48,49)
「イエスを裏切る者は,
彼らと合図を決めて,
『私が口づけをするのが,その人だ。
その人をつかまえるのだ』と言っておいた。
それで,彼はすぐにイエスに近づき,
『先生。お元気で』と言って,
口づけした。」
ユダに悪霊が入り,
イエスを裏切り,
祭司長たちに引き渡します。
イエスは,この計画を赦します。
イエスはこのとき,
「わたしである」といいます。
(ヨハネ18:4-6)
「しかしイエスは,
自分の身に起ろうとすることを
ことごとく承知しておられ,
進み出て彼らに言われた,
『だれを捜しているのか』。
彼らは『ナザレのイエスを』と答えた。
イエスは彼らに言われた,
『わたしが,それである』。
イエスを裏切ったユダも,
彼らと一緒に立っていた。
イエスが彼らに
『わたしが,それである』と言われたとき,
彼らはうしろに引きさがって地に倒れた。」
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大祭司に答える
(マタイ26:63-65)
「しかし,イエスは黙っておられた。
それで,大祭司はイエスに言った。
『私は,生ける神によって,
あなたに命じます。
あなたは神の子キリストなのか,どうか。
その答えを言いなさい。』
イエスは彼に言われた。
『あなたの言うとおりです。
なお,あなたがたに言っておきますが,
今からのち,人の子が,
力ある方の右の座に着き,
天の雲に乗って来るのを,
あなたがたは見ることになります。』
すると,大祭司は,
自分の衣を引き裂いて言った。
『神への冒涜だ。
これでもまだ,証人が必要でしょうか。
あなたがたは,
今,神をけがすことばを聞いたのです。』」
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ペテロ,イエスを知らないという
(マタイ26:69-75)
ペテロは外で中庭にすわっていた。
するとひとりの女中が彼のところにきて,
「あなたもあのガリラヤ人イエスと
一緒だった」と言った。
するとペテロは,
みんなの前でそれを打ち消して言った,
「あなたが何を言っているのか,
わからない」。
そう言って入口の方に出て行くと,
ほかの女中が彼を見て,
そこにいる人々にむかって,
「この人はナザレ人イエスと一緒だった」
と言った。
そこで彼は再びそれを打ち消して,
「そんな人は知らない」
と誓って言った。
しばらくして,
そこに立っていた人々が近寄ってきて,
ペテロに言った,
「確かにあなたも彼らの仲間だ。
言葉づかいであなたのことがわかる」。
彼は「その人のことは何も知らない」
と言って,
激しく誓いはじめた。
するとすぐ鶏が鳴いた。
ペテロは
「鶏が鳴く前に,
三度わたしを知らないと言うであろう」
と言われたイエスの言葉を思い出し,
外に出て激しく泣いた。
2019-11-28