聖書の言葉 (哲学と比較)
哲学と聖書,神学は基本から違うようです。
哲学は,人生問題を提出していることに,
大きな意味があると思います。
哲学のテーマを次のように取り上げ,
聖書がどのように述べているか述べました。
序
「哲学とは,
(単なる知識ではなく)
叡智の教えでありその実践である。」
(カント)
叡智は,聖書では「知恵」という言葉に
該当するのではないでしょうか。
聖書もまた,知恵を扱っています。
ソロモンは知恵を求め,文章としました。
聖書に「箴言」として入っています。
ソロモンは箴言に次のように述べました。
「知恵と訓戒とを学び,
悟りのことばを理解するためであり,」
(箴言1:2)
1.道徳
「満足した豚であるよりは,
不満足なソクラテスである方がましだ。
満足した愚か者であるよりは,
不満足なソクラテスである方がましだ。
そして,もし豚なり愚か者なりが
これとはちがう見解をもつとしたら,
それは彼らが問題の一面-つまり,
自分たちにとっての側面-
しか知らないということにほかならない。
それに比べれば,
ソクラテスはどちらの面をも知っている。」
(ジョン・スチユワ-卜・ミル)
道徳は,人の正しい生き方だとするなら,
聖書の神もまた人の生き方を教えています。
旧約聖書に与えられた十戒を
イエス・キリストは2つにまとめています。
「パリサイ人たちは,
イエスがサドカイ人たちを黙らせたと聞いて,
いっしょに集まった。
そして,
彼らのうちのひとりの律法の専門家が,
イエスをためそうとして,尋ねた。
『先生。
律法の中で,たいせつな戒めはどれですか。』
そこで,イエスは彼に言われた。
「『心を尽くし,思いを尽くし,
知力を尽くして,
あなたの神である主を愛せよ。』
これがたいせつな第一の戒めです。
『あなたの隣人を
あなた自身のように愛せよ。』
という第二の戒めも,
それと同じようにたいせつです。
律法全体と預言者とが,
この二つの戒めにかかっているのです。」
(マタイ22:34-40)
2.政治
「政治を思考しなければならない。
政治を十分に思考しなければ,
われわれは
手ひどく罰せられることだろう。」
(アラン)
旧約聖書は,歴史の書であり,
政治の書であるといえるでしょう。
新約聖書では,
隣人,家庭,教会に関心を持ってます。
国家,政治については,
人の心が変わることによって,
よくなると考えています。
パウロは保守的な発言があります。
「人はみな,
上に立つ権威に従うべきです。
神によらない権威はなく,
存在している権威はすべて,
神によって立てられたものです。」
(ローマ13:1)
3. 愛
「愛するとは喜ぶことだ」
(アリストテレス)
聖書は,
一貫して神が愛であることを
述べています。
「過越の祭りの前に,
この世を去って父のみもとに行くべき
自分の時が来たことを知られたので,
世にいる自分のものを愛されたイエスは,
その愛を残るところなく示された。」
(ヨハネ13:1)
4.死
「ほかのどんなものに関しても,
安全を手にいれることはできる。
しかし,死があるために,
われわれ人間は,
誰もが防壁のない都市に住んでいる」
(エピクロス)
聖書では,死は罪の結果であり,
イエス・キリストが解決を与えます。
「朽ちるものが朽ちないものを着,
死ぬものが不死を着るとき,
『死は勝利にのまれた。』と記されている,
みことばが実現します。
『死よ。おまえの勝利はどこにあるのか。
死よ。おまえのとげはどこにあるのか。』
死のとげは罪であり,罪の力は律法です。
しかし,神に感謝すべきです。
神は,私たちの主イエス・キリストによって,
私たちに勝利を与えてくださいました。」
(1コリント15:54-57)
6.自由
「自由とは,
自分で課した法に服従することである。」
(ルソー)
聖書では,
イエス・キリスト自身が真理でした。
わたしたちが,
イエス・キリストを信じるなら,
自由にされます。
「そこでイエスは,
その信じたユダヤ人たちに言われた。
『もしあなた方が,
わたしのことばにとどまるなら,
あなたがたはほんとうにわたしの弟子です。
そして,あなたがたは真理を知り,
真理はあなたがたを自由にします。』」
(ヨハネ8:31,32)
7. 神
「神を信じるとは,
人生が意味のあるものだと
分かるということを意味している。」
(ウィトゲンシュタイン)
聖書は,イエス・キリストをとおして,
神を見ることが出来ると言います。
「イエスは彼に言われた。
『ピリポ。
こんなに長い間
あなたがたといっしょにいるのに,
あなたはわたしを知らなかったのですか。
わたしを見た者は,父を見たのです。
どうしてあなたは,
『私たちに父を見せてください。』
と言うのですか。」
(ヨハネ14:9)
8. 無神論
「信仰は救いをもたらす。
だから信仰は嘘つきなのだ」
(ニーチェ)
聖書は神の存在を説明しません。
神を信じ,信頼し,
従がうことを求めています。
旧約聖書の詩篇は,次のように言います。
「悪者は高慢を顔に表わして,
神を尋ね求めない。
その思いは『神はいない。』
の一言に尽きる。」
(詩篇10:4)
9. 芸術
「われわれが芸術のうちに求めるものは,
思想のうちに求めるのと同じく,
真理である」
(ヘーゲル)
聖書は音楽にいやしの効果が
あることを教えています。
「神から出る悪霊がサウルに臨む時,
ダビデは琴をとり,手でそれをひくと,
サウルは気が静まり,良くなって,
悪霊は彼を離れた。」
(1サムエル16:23)
10. 時間
「現在だけが存在している」
(クリユシツボス)
聖書は,時について述べると共に,
永遠について述べています。
「神は,実に,
そのひとり子をお与えになったほどに,
世を愛された。
それは御子を信じる者が,
ひとりとして滅びることなく,
永遠のいのちを持つためである。」
(ヨハネ3:16)
11. 人間
「人間は人間にとって聖なるものである。」
(セネカ)
聖書は,
人間は神によって造られたものだと言います。
「その後,神である主は,
土地のちりで人を形造り,
その鼻にいのちの息を吹き込まれた。
そこで,人は,生きものとなった。」
(創世記2:7)
12. 叡智
「いくら他人から知識を得たとしても,
賢者になるには
自分自身の叡智によるしかない。」
(モンテーニュ)
聖書は,知恵は人格を取るといいます。
そして,イエス・キリストが知恵となります。
「ユダヤ人であってもギリシヤ人であっても,
召された者にとっては,
キリストは神の力,
神の知恵なのです。」
(1コリント1:24)
「哲学はこんなふうに」
(アンドレ・コント=スポンヴィル)
(紀伊国屋書店)
を哲学に関して,
参考にしています。
2015.11.12