ルツ記 解説
ルツは,
アブラハムのおいロトの子
モアブの子孫で,
結婚前は異教徒であったと
思われます。
ルツ記の出来事は,
士師記の初期であると
思われます。
○
残されたナオミ
(ルツ1:1-6)
「士師が世を治めていたころ,
飢饉が国を襲ったので,
ある人が妻と二人の息子を連れて,
ユダのベツレヘムから
モアブの野に移り住んだ。
その人は名をエリメレク,
妻はナオミ,
二人の息子は
マフロンとキルヨンといい,
ユダのベツレヘム出身の
エフラタ族の者であった。
彼らはモアブの野に着き,
そこに住んだ。
夫エリメレクは,
ナオミと二人の息子を
残して死んだ。
息子たちはその後,
モアブの女を妻とした。
一人はオルパ,
もう一人はルツといった。
十年ほどそこに暮らしたが,
マフロンとキルヨンの二人も死に,
ナオミは
夫と二人の息子に先立たれ,
一人残された。
ナオミは,
モアブの野を去って
国に帰ることにし,
嫁たちも従った。
主がその民を顧み,
食べ物を
お与えになったということを
彼女はモアブの野で
聞いたのである。
ナオミは住み慣れた場所を後にし,
二人の嫁もついて行った。」
○
ルツの信仰
(ルツ1:16)
「ルツは言った。
『あなたを捨て,
あなたから別れて帰るように,
私にしむけないでください。
あなたの行かれる所へ私も行き,
あなたの住まれる所に
私も住みます。
あなたの民は私の民,
あなたの神は私の神です。』」
ルツが姑のナオミに
語った言葉です。
ルツの信仰です。
ルツの信仰と従順によって,
理想的な夫のボアズを
得ることが出来ました。
ルツの信仰と従順は,
祝福をもたらします。
○
「はからずも」
(ルツ2:3)
「ルツは出かけて行って,
刈る人たちのあとについて,
畑で落ち穂を拾い集めたが,
それは,
はからずも
エリメレクの一族に属する
ボアズの畑のうちであった。」
ルツがボアズの畑に
落穂拾いに行ったことは,
ルツの意図していないことでした。
「はからずも」と表しています。
このことの中に,
神は永遠の救いの計画を
実現しました。
(ローマ11:33)
「ああ,
神の知恵と知識との富は,
何と底知れず深いことでしょう。
そのさばきは,
何と知り尽くしがたく,
その道は,
何と測り
知りがたいことでしょう。」
○
「翼の下に」
(ルツ2:12)
「主があなたのしたことに
報いてくださるように。
また,あなたがその翼の下に
避け所を求めて来た
イスラエルの神,
主から,
豊かな報いがあるように。」
ボアズのルツへの親切は,
ボアズの人間的な同情心ではなく,
神の報いの代行でした。
「翼の下」とは,
神の深い恵みを示しています。
☆彡
(ルツ2:8-13)
ボアズはルツに言った。
「娘さん。よく聞きなさい。
ほかの畑に
落ち穂を拾いに行ったり,
ここから出て行ったりしては
いけません。
私のところの若い女たちの
そばを離れないで,
ここにいなさい。
刈り取っている畑を見つけて,
あとについて行きなさい。
私は若者たちに,
あなたのじゃまを
してはならないと,
きつく命じておきました。
のどが渇いたら,
水がめのところへ行って,
若者たちの汲んだのを
飲みなさい。」
彼女は顔を伏せ,
地面にひれ伏して彼に言った。
「私が外国人であるのを知りながら,
どうして
親切にしてくださるのですか。」
ボアズは答えて言った。
「あなたの夫がなくなってから,
あなたがしゅうとめにしたこと,
それにあなたの父母や
生まれた国を離れて,
これまで知らなかった民のところに
来たことについて,
私はすっかり話を聞いています。
主があなたのしたことに
報いてくださるように。
また,あなたがその翼の下に
避け所を求めて来た
イスラエルの神,
主から,
豊かな報いがあるように。」
彼女は言った。
「ご主人さま。
私はあなたのご好意に
あずかりとう存じます。
私はあなたのはしための
ひとりでもありませんのに,
あなたは私を慰め,
このはしために
ねんごろに話しかけて
くださったからです。」
♪
新聖歌256 「御翼のもとに」
1.
御翼われを覆えば
嵐猛る闇夜も
イエスに頼り安きあり
われは神の子なれば
(祈り返し)
わが主の愛より 離すものなし
御翼に守られ 永遠に安けし
2.
御翼われにとりては
悩む時の隠れ家
癒す者のなき時も
そこにわれは安ろう
(祈り返し)
3.
命の絶ゆる時まで
御翼の陰に寄らん
イエスにありてわれ安し
損うものなければ
(祈り返し)
○
買戻し
(ルツ3:9)
「彼は言った。
『あなたはだれか。』
彼女は答えた。
『私はあなたのはしためルツです。
あなたのおおいを広げて,
このはしためをおおってください。
あなたは買い戻しの権利のある
親類ですから。』」
「買い戻しの権利のある親類」
という言葉は,
「ゴエル-」という語で,
「贖う者」という意味です。
「買戻しの権利のある親類」
(ゴエルー)
であるボアズの
異邦人ルツに対する愛は,
異邦人を救うイエス・キリストを
予表しています。
神の救いの深遠な計画を
思わされます。
☆
(ローマ3:23,24)
「すべての人は,
罪を犯したので,
神からの栄誉を
受けることができず,
ただ,神の恵みにより,
キリスト・イエスによる
贖いのゆえに,
価なしに義と認められるのです。」
「贖い」は,
代価を払って買い取るという
意味ですが,
キリストの救いを
意味するようになります。
キリストの十字架による死は
贖いの代価であり,
それにより罪人は罪を赦され,
義と認められます。
ルツはキリスト教会の型です。
買戻しの権利のあるボアズは,
わたしたちの贖い主の
キリストの型です。
♪
「罪に満てる世界」
(新聖歌343)
1.
罪に満(み)てる世界
そこに住む世人(よびと)に
「生命(いのち) 得よ」とイエスは
血潮(ちしお) 流しませり
ああ恵み! 計り知れぬ恵み
ああ恵み! われにさえ及べり
2.
罪は海の如(ごと)く
わが心 覆(おお)えど
神はさらに強き 恵みもて救えり
ああ恵み! 計り知れぬ恵み
ああ恵み! われにさえ及べり
○
ルツの祝福
(ルツ4:14)
「女たちはナオミに言った。
『イスラエルで,
その名が伝えられるよう,
きょう,
買い戻す者をあなたに与えて,
あなたの跡を絶やさなかった主が,
ほめたたえられますように。』」
ボアズは大きな犠牲を払って,
ナオミの畑を買い取りました。
ボアズはルツと結婚し,
ルツに子が生まれます。
(マタイ1:5)
「サルモンに,
ラハブによってボアズが生まれ,
ボアズに,
ルツによってオベデが生まれ,
オベデにエッサイが生まれ,」
(ロマ11:33)
「ああ,神の知恵と知識との富は,
何と底知れず深いことでしょう。
そのさばきは,
何と知り尽くしがたく,
その道は,
何と測り知りがたい
ことでしょう。」
☆彡
(ルツ4:13-17)
「こうしてボアズはルツをめとり,
彼女は彼の妻となった。
彼が彼女のところに入ったとき,
主は彼女をみごもらせたので,
彼女はひとりの男の子を産んだ。
女たちはナオミに言った。
『イスラエルで,
その名が伝えられるよう,
きょう,
買い戻す者をあなたに与えて,
あなたの跡を絶やさなかった主が,
ほめたたえられますように。
その子は,あなたを元気づけ,
あなたの老後をみとるでしょう。
あなたを愛し,
七人の息子にもまさる
あなたの嫁が,
その子を産んだのですから。』
ナオミはその子をとり,
胸に抱いて,養い育てた。
近所の女たちは,
『ナオミに男の子が生まれた』
と言って,
その子に名をつけた。
彼女たちは,
その名をオベデと呼んだ。
オベデは
ダビデの父エッサイの父である。」
○
贖い主である「オベデ」
(ルツ4:14,15)
「女たちはナオミに言った。
『イスラエルで,
その名が伝えられるよう,
きょう,
買い戻す者をあなたに与えて,
あなたの跡を絶やさなかった主が,
ほめたたえられますように。
その子は,あなたを元気づけ,
あなたの老後をみとるでしょう。
あなたを愛し,
七人の息子にも
まさるあなたの嫁が,
その子を産んだのですから。』」
ここでの「買い戻す者」
(ルツ14:14)とは,
ボアズのことではなく
オベテのことです。
「オベテ」が成長すると,
ナオミの財産を
贖うことになります。
「オベデ」は,
ルツの子であると同時に,
ナオミの子でもあるのです。
「オベテ」は,
やがて神のしもべとして遣わされる
真の「買い戻す」(ゴーエール)
としての
イエス・キリストを
指し示しています。
○
2018-04-18