【中ノ岳頂上にて 2011.05.05】
2001年の夏にカムイエク~1839の間、(ブログのアドレスに入っているkamueku1839はこれにちなんでいます)初めて日高の稜線をあるいてからチョボチョボと主稜線をつないできて、もう10年にもなる。
ヤオロマップからペテカリを経てソエマツまでが残っていたが、ペテカリ~ソエマツは日高を繋いでいる人の間でも難所といわれていて、然るべくして残った感じだ。
今回その難関の一部、神威からペテカリまでをともにリーチのかかっていたY内さん、S橋さんとご一緒し、お二人の偉業に立ち会うことができた。自分も難関の一部を踏破したことで全踏破に向けて少しは望みが出てきた。
5/3(晴れ)
元浦川林道ゲート 5:50
神威山荘 9:35-10:00
C1(Co1200) 16:15
前日午後から走り、待ち合わせの三石道の駅にて今回のメンバーと落ち合う。Y内さんとN川さんは昨年イドンナップをご一緒しているので2回目、S橋さんとは一昨年新冠川を下っているときにエサオマン北カールの下でお会いしている。もう1人N瓶さんとは初対面だ。道の駅からはソエマツ~神威~ニシュオマナイが見えていて期待が高まる。
林道を走らせ、神威橋をすぎたところでゲート。ここに車を止めていよいよ出発、林道には雪はなく順調に歩を進める。途中の崖にはソラチコザクラが群生し、癒される。林道からは鋭鋒に見えるニシュオマナイ岳が見える頃3時間が経過、少しすると以前とはまるで雰囲気の変わったなかに建つカムイ山荘。以前はもっと木々に囲まれていたような気がするが、今は数年前の台風で木々が根こそぎ倒され、周りには木は全くない、ちょっとびっくり。
30分程休んで前進する。地下たび、沢靴、ビニール袋かぶせなど各人工夫して渡渉するが、結局このあと尾根取り付き付近までまともな雪が現れず、雪解けの増水も相まって靴をぬらすことになる。
尾根に取り付いてからは、ズボズボになった雪と笹のタッグにやられて縦走装備には堪える。1200mのテン場まで忍の一文字。平坦ないいテン場で、夕陽に照らされるニシュオマナイが美しい。
今日の食当はN瓶さん、野菜たっぷりのベーコンスープと冷たいビール、苦労が報われる幸せなひとときを過ごす。明日は雨との予報でちょっとがっかりしながら眠りにつく。
【三石道の駅からソエマツ(右)・神威(中)・ニシュオマナイ(左)】
【林道の崖にはソラチコザクラが】
【神威山荘とニシュオマナイ】
【C1からニシュオマナイ】
5/4(終始ガス・雪)
C1(Co1200) 6:20
ニシュオマナイ岳 11:00
C2(中ノ岳肩) 15:00
朝起きると雪が積もっていた。雨の予報は山ではまだこの季節、雪なのだった。朝のうちはまだ周りが見えていたのだが、出発してすぐに視界はなくなった。1時間少しで国境分岐、セッピが張り出し尾根に踏み出すのに勇気がいった。慎重にバックでキックステップして降りる。
細い稜線に次々に雪のついたコブが現れ、ビビリなワタシは緊張の連続となる。先頭を切ってくれたY内さん、N川さんに感謝感謝。神経すり減らしたことと思う。
無名の名峰ニシュオマナイ岳は残念ながらガスの中の登頂。少しでもいいからガスが晴れてほしかった。もう二度とこないと思うから・・・。
ここから先、中ノ岳までの間はさらに細くなる。エライところにきてしまったモンだと思うが、もうあとには引けない。一歩一歩慎重に進むのみ、踏み外したら命はない。もっとも緊張したのは1372の前後、どこかのHPに小八剣(八剣山をもじったもの)と書いてあったところだ。左側はすっぱり切れ落ち、右側はかなりの急斜面、おまけに細かいアップダウン。少し前の緩斜面からトップを行っていたワタシがそのまま突っ込むことになる。後ろのメンバーは夕食のメニューの話をしている。こっちは生きた心地がしなかったのに・・・。
予定ではもっと進むはずだったのだが、天候も悪いし、逆側からきたパーティーの横でC2とした。今までの細尾根がウソのような平坦地で、テン場に最適のところだ。今日の食当はS橋さん、麻婆ナス丼を食べながら、おいしいお酒が進んだ。明日こそ好天を願って就寝。
【ニシュオマナイがうっすらと】
5/5(晴れのちガス)
C2(中ノ岳肩) 6:10
中ノ岳 6:50-8:10
1573 12:35-12:55
ペテカリ岳 14:15-14:30
C3(西尾根1080) 17:00
朝起きると、ガスっていて今回の山行は展望なしかと思っていると、日が上がるにつれガスがとれ、昨晩の雪のおかげでひときわ真っ白になった日高の大パノラマに大感動!特に中ノ岳に朝日が当たり本当に美しい。昨日歩いた稜線をながめると本当に細い。我々がつけたトレースもくっきりと見えて、よくあんなところ歩いてきたものだと思うくらいだ。
これ以上ない景色の中、中ノ岳へ向かう。南は日高十勝~ピリカ~ソエマツ~神威~ニシュオマナイ、これから進むペテカリ、その横にはどこから見ても独特の形をした1839、特にペテカリは本当に端正な三角形に見える。この景色を見るために緊張し、苦労してやってきた、それが報われる瞬間である。
中ノ岳の北斜面は超急斜面、バックでステップを切って慎重に降りる。つくづくワタシはビビリだと思う。それにしても今回の女性陣には驚く、特にN川さんは躊躇することなくトットコ降りてゆくし、細いところでも全くびびることがない、ワタシももっと経験を積まねばと思う。
中ノ岳から先は細い箇所が連続する。相変わらずN川さんがトップを切って進む、なんだか楽しそうにやってるように見える。こちらはアイゼンがすぐに雪団子になるし、5・6歩で雪を落としながら、ピッケルを刺してまさにカメの歩みだ。中ノ岳からは意外に近く見えたペテカリも1469からの細尾根にかなり時間がかかり4時間半がかかってしまっていて、もはや周囲はガスで何も見えなくなっていた。できれば天気のよい中すすみ、お二人のゴールの瞬間を迎えたかった・・・。
1573で大休止して、ペテカリへ向かう。途中から後ろを歩いていたS橋さんに先に行ってもらい、Y内さん、S橋山の順番に三角点にタッチ。日高主稜線完登のゴールを迎える。標識の前でバンザイ!お二人とも本当にうれしそう、おめでとうございます、そしておつかれさまでした!
ガスのペテカリ岳を後に西尾根を駆け下りる。本当は山荘まで行って安着の予定だったが、17時をすぎても半分も行かず、すり鉢状のテン場適地でC3とする。
【C2から朝日の当たる中ノ岳】
【神威(右)とニシュオマナイ(左)から続くリッジ】
【中ノ岳への登りで】
【中ノ岳からペテカリ】
【中ノ岳からソエマツ(左)・ニシュオマナイ(中)・神威(右)】
【このあと緊張の急斜面へ】
【急斜面を降りほっと一息】
【直下から見る中ノ岳】
【この日これが見納めでした】
【緊張したリッジ】
【国境稜線踏破したY内さん・S橋さん】
5/6(晴れ)
C3(西尾根1080) 5:30
ペテカリ山荘 10:30-11:00
神威岳林道 14:50
元浦川林道ゲート 18:15
今日はペテカリ山荘へ下り、一山超えてカムイ山荘へ、再び林道を辿る意外と長丁場となる。皮肉はことに、天気はこの4日間で最高な中を歩くことになる。1839、ルベツネ、ペテカリ、目を転ずれば、昨日まで歩いた稜線が・・・。つくづくよく歩いたものと思う。
1050のコブからは笹がまだ寝ていて、夏道が判然とせず、しばらく笹藪をこぐことになる。おかげでダニに好かれて山荘に着くと10匹も付いていた。
神威山荘への峠越えの道は以前来たときよりも明瞭で、雪もなくまるで沢登りでもしているかのようだった。9時間超でやっとこさ林道に出て、さらに3時間半かけてゲートまで戻った。
天気はちょっとばかり残念だったけども、わずか半日だけでも真っ白な日高山脈核心部の景色を、そのまっただ中に身を置いて眺められたことは本当に忘れ得ぬ思い出になった今年のGW山行でした。
【西尾根からの1839】
2011GW日高縦走(神威岳~ペテカリ岳) のスライドショーをつくりました。
拡大してご覧ください。(1024×768)
※一部同行者の写真を使用させて頂きました
4日、静内の下界にいましたが、朝は気温が低く降り始めた雨はみぞれに変わりました。風も強く稜線はどうなっているのだろうと心配していましたが、無事踏破とのこと、よかったです。
残りのルートも頑張ってください。
私は北日高の神威岳を好天の予報の5日に登るはずだったのですが、滞在していた静内で車が故障し行けなくなりました。戸蔦別林道がなかり奥まで入れたようで、日帰り可能だと思ったのですが残念です。