子供の頃から、私は虫が苦手だった。
嫌い というよりは
怖い という感じであった。
虫取り網で捕まえた蝉だって、虫かごに入れることができなかったし
カマキリが教室に出てきたときなんか真っ先ににげた。
今だって、クモを発見すると太ももにじんましんがでるくらい嫌いだ。
(どういうわけか、今の家はクモがよく出る)
初めて『ちょうちょ』をみたとき、彼女たちが虫だったなんて微塵にも思わなかった。
ふわふわと ひらひらと宙を舞う様はどう見ても美しく品があり、
花にとまって羽を休める姿は
妖精のようでもあり、身分の高いお嬢様のようにもみえた。
それが虫であると教えられたのは小学校の『せいかつ』という授業の中だった。
頭、胸、腹。三つに分かれていて、足は六本。対の羽を持つ生き物。
このときちょうちょが蝉やカマキリと同じ昆虫であるということを知った。
納得しつつも半信半疑だったのを覚えている。
彼女たちを、私はとてもいとおしく思う。
たとえ昆虫であろうと、美しいものは美しい。
それに、私は今になっても
彼女たちが虫であるという事実さえ信じては居ないのだから。
photo; 1 sep 2010 美ら海水族館